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本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2010年01月

新選組始末記

1月29日分。
子母澤寛の処女作。
新選組の栄枯盛衰を
史料や現地踏査、聞き取りなどによって
細密に検証し、再構成した実録。
新聞記者であった子母澤の圧倒的な取材力が
行間からうかがえる。
子母澤の祖父は徳川慶喜の警護にあたった彰義隊の一員であり
上野戦争に敗れ、敗走して五稜郭まで行き、
囚われの身となった後
札幌付近で開墾事業に従い、
さらに厚田村に移った。
この祖父への思いがあり、
明治維新の動乱を
勝った官軍側から見るのではなく
敗れた側から見ようという思いが
この新選組始末記に結実する。
読むと、史料を掲載しながら
史実を再構成していくその筆力はすごい。
近藤勇にスポットが当たっており
江戸の小石川で道場を営んでいた近藤が
時代の風に動かされて幕府の護衛として
京都へ上り、新選組を結成し
50~60人以上の人を切り
時代の風にあおられ
最後は板橋で処刑されるまでが語られる。
時代は江戸から明治へと移り
徳川幕府から明治政府へと移ったが
その過程で幕府を奉った新選組
近藤勇は歴史の結果論として
敗者となっていく。
しかし、その過程では
それぞれの人物が
それぞれにその思いを貫いていた。
そうしたことを訴えかけてくる著作だ。
新選組始末記 (中公文庫)新選組始末記 (中公文庫)
(1996/12)
子母沢 寛

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[ 2010/01/30 06:44 ] | TB(0) | CM(0)

パラレル

1月28日分。
芥川賞作家、大江健三郎賞作家の長嶋有の作品。
主人公はフリーのゲーム作家。
離婚した元妻、友だちのプレイボーイ社長
その恋人たちが織りなす男女物語。
でも、何か青春ストーリーに読める。
時系列をずらした構成により
何か人間の記憶の流れで再構成されている感じ。
ある出来事があると、そのきっかけを思い出す。
そんな風に人の記憶の時間は流れている。
その流れに沿って、再構成されている気分。
キャバクラとか、やり手社長とか、
ゲームプログラマーとか
何かキャプキャピした領域を描きながら
けっこう青春している。
なぜか懐かしい感じがした。
若さを描いているからかな。
別れてもなおひんぱんに連絡が来る元妻って
離婚者にとっては、あり得ない感じですが。
この辺の話はちょっと個人的に痛い。
パラレル (文春文庫)パラレル (文春文庫)
(2007/06)
長嶋 有

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[ 2010/01/29 11:41 ] | TB(0) | CM(0)

多読術

1月27日分。
松岡正剛の読書に関する本。
松岡正剛って読書量が半端じゃなくて
しかもジャンルも幅広くてすごいなって
思える1人。
クラスに一人くらいいるじゃない。
どんな本でも読破していて
何を聞いても打てば響く感じで
返ってくる人。
そんな人じゃなかろか。
気になった言葉を。
「読書は二度するほうがいいんですね」
「本というのは、長い時間をかけて
世界のすべてを呑み尽くしてきた
メディアです」
「自分の人生は日記のようなもの。
意識と実景の二重進行」
◎キーブック
『忘れられた日本人』『塩の道』宮本常一
『古代研究』折口信夫
『日本の歴史を読み直す』網野善彦
『デミアン』ヘルマン・ヘッセ
『知の考古学』ミシェル・フーコー
多読術 (ちくまプリマー新書)多読術 (ちくまプリマー新書)
(2009/04/08)
松岡 正剛

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[ 2010/01/28 10:15 ] | TB(0) | CM(0)

心にナイフをしのばせて

1月26日分。
ノンフィクション。
酒鬼薔薇事件をきっかけに
その28年前に起こった
高校一年生による高校一年生惨殺事件の家族を追う。
加害者の心理に分け入ろうとするルポではない。
息子を同級生に殺された家族に密着し
その後40年近くどんな苦しみを感じてきたかを
丹念に追ったルポ。
主に妹さんとお母さんの一人称で語られるが
ひとつの殺人事件が遺族の家庭を
どう壊してしまうかが
実感として迫ってくる。
このルポを契機に
少年法の改正が進んだ。
本当の悲しみは
時が解決してくれない。
いつまでも心にとどまり続ける。
そんなことを実感した。
「 」なしの
家族たちの一人称で語られる内容は
ひとつの家族の物語でありながら
もっと大きな闇を見せる。
心にナイフをしのばせて (文春文庫)心にナイフをしのばせて (文春文庫)
(2009/04/10)
奥野 修司

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[ 2010/01/27 09:51 ] | TB(0) | CM(0)

陽気なギャングが地球を回す

1月25日分。
僕と相が合わない伊坂幸太郎の作品。
ギャングもの。
銀行強盗4人組が銀行を襲う。
それは成功するのだが、
途中で別の銀行強盗と遭遇して……。
そこからそのギャングたちとの対決が始まる。
対決といったって、ドンパチッするようなものではない。
知略、作為、トリック
そんな戦い。
この物語で伊坂氏はそれぞれの銀行強盗に
特殊能力を持たせる。
嘘を見抜く脳力の強盗。
スリの天才。
精確な体内時計を持つ女。
演説の達人。
この4人と
さまざまな変なものを作る男が
絡んできて
事件は周到に用意された伏線が
最後に生きてくる。
伊坂氏はあとがきで書いている。
現実世界とつながっているように見えながらも、
実はつながっておらず、
寓話のように見えるかもしれないが
寓意は込められておらず。
まさにこれが伊坂氏の書く小説であり
小説にドラマやら物語やらを込めるのを
ていねいに避けているように思える。
クール、諦念すらもない諦念。
ここにもポストモダンの小説がある。
感情や情緒をていねいに避け
ドラマチックもなく
どこか童話のように寓意を含むように見えながら
寓意もていねいに避けている。
逃走論が以前流行ったが
逃走でもない。
温度の低い小説。
この温度の低さがなじめないのだが
しかし何度も書き直され
最後にピタッと
ルービックキューブの
すべての面がそろうような快感は
伊坂氏のち密な構成と筆力のなせる技だ。
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
(2006/02)
伊坂 幸太郎

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[ 2010/01/26 17:11 ] | TB(0) | CM(0)

瞬きもせず

1月24日分。
紡木たくの少女コミック。
この人の絵は水彩画っぽい絵が入ったり
余白が生きてたり、
絵の感覚が抒情的でいいね。
高校1年生でつきあい始めたかよ子と紺野。
サッカーに打ち込む紺野とテニス部で田舎ののんびりしたこのかよ子。
紺野の告白でつきあい始めたのはいいけれど
最初はじっれったいほどの気持のすれ違い。
高校時代ってこうだったかな?とはるか昔を思い出す。
高校くらいって自意識が強すぎて、
自分が傷つくのが怖くて、でも人ともっと深く関わりたくて。
揺れ動く2人の高校3年間。卒業後にいろいろあったが
最後はハッピーエンド。
この二人のその後を見てみたいと思う。
青春の揺れ動くストーリー。
コンビニの厚いヤツで上下完読しました。
瞬きもせず (マーガレットコミックス (1384))瞬きもせず (マーガレットコミックス (1384))
(1988/04)
紡木 たく

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[ 2010/01/25 09:59 ] | TB(0) | CM(0)

シアター!

1月23日分。
弱小劇団のお金を巡る物語。
劇団主宰は泣き虫。
その兄は工務店営業。現実の厳しさを知る男。
で、泣き虫主催の弟が、兄に借金で泣きついたことから
兄はある条件を掲げる。
曰く、借金300万円を2年間で
劇団の利益で返せなければ解散。
兄は劇団の実質的な“制作”として
金の管理や売上アップにかかわる。
そこに多彩な個性の劇団員も登場してきて
笑って、ちょっと感動しちゃう
劇団の青春ストーリーが続く。
作者は『図書館戦争』の著者。
なんとなくコミックを思わせる
コミカルさと劇画チックなシーンを行き来する感覚。
軽い上質の物語が生まれている。
シアター! (メディアワークス文庫)シアター! (メディアワークス文庫)
(2009/12/16)
有川 浩

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[ 2010/01/25 09:48 ] | TB(0) | CM(0)

スイッチを押すとき

1月22日分。
山田悠介。
若者に人気。
その理由が知りたくて読んでいるのかもしれない。
この人の本はいつもあり得ない設定。
この本では子供に自殺スイッチを持たせて
実験をするという話。
この人の話はいつも死が隣り合わせにある。
人物描写もあまりない。
そして、決定的な特徴は
喜怒哀楽の感情描写がほとんどない点だ。
無機的な感じがするのはそこにある。
ただ淡々と主人公たちは置かれた運命の中に生きる。
まるでゲームのように。
人生はゲームだと言わんばかりに。
いや、人生はゲームですらないのかもしれない。
大きな物語が死に絶え
データベースから無作為に生まれる小さな物語に
小説再生の思いを込めているように感じられる。
寺山修司の言葉を思い出す。
ヒーローのいない時代は不幸だが
ヒーローを求める時代はもっと不幸だ。
ヒーローのいない現代の不幸に耐えて
その中に新しい物語を構築していきたい。
山田悠介はそんな取り組みをしている作家のように思える。
スイッチを押すとき (角川文庫)スイッチを押すとき (角川文庫)
(2008/10/25)
山田 悠介

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[ 2010/01/25 09:36 ] | TB(0) | CM(0)

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

1月21日分。
これも以前に買っていた本。
“感動”を呼ぶサービスについて
興味をもっていた時期があって
(ディズニーランドとかもそう)
その流れで買いました。
リッツカールトンはラグジュアリーホテル。
トップ5%のコア層を顧客ターゲットとしています。
だから、高いのでおいそれとは泊まれません。
日本では大阪にあります。
で、そのサービスを超えるサービスとは?
いろいろ書いてありますが
まずはこんな感じ。
フロントに着いたら、いきなり名前で呼びかけられた。
披露宴でビーフが苦手で手を付けずにいたら
チキンはいかがですかと、そっと取り替えてくれた。
もっとドラマチックなこともあります。
で、そこに流れるのは
ホテルマンのすべての人が
お客様に楽しんでもらおう、喜んでもらおう
感動してもらおうという思いで仕事をしていること。
どうしてこうしたことができるのか興味ありますよね。
それをザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長である
著者がさまざまな情報を披露しながら書いた本です。
経営者が自分の会社を顧客本位にするために、
また人と人との接し方、ホスピタリティの原点に
役立つような本です。
基本はその人のことを思い続けること。
その人に喜んでもらおうと考え続けること。
これは恋愛にも通じる感じですが
これを日常やり続けるのは
ほかのこともありながら、
なかなかに難しいですね。
でも、ときどき思い返して
自分を振り返ってみたい本です。
リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間
(2005/09/06)
高野 登

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[ 2010/01/22 09:23 ] | TB(0) | CM(0)

江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実

1月20日分。
この本はずいぶん前に買って積んであったもの。
一気に斜め読み。
何で買ったんだろうな?
時代劇と実際はかなり違っていたというエピソードの積み重ね。
執拗な追いかけ方は頭が下がるが
だんだん細かい話になっていくので
次第に疲れてくる。
頭の結い方で階級やその人の仕事などを判断し
管理するようにしていたという話や
どこかで聞いたことがあるが
刀と刀を合わせると刃こぼれがするから
そんなことはしないなどという話は興味深かった。
この考証をもとに小説などの形に落としたら
もっとわかりやすかったと思う。
江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社プラスアルファ新書)江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社プラスアルファ新書)
(2008/01/24)
古川 愛哲

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[ 2010/01/21 09:51 ] | TB(0) | CM(0)

痛快!ゴルフ勉強法。―「ゴルファー脳」を味方につけてうまくなる

1月19日分。
これは仕事用に読んだ。
発達脳科学の世界的権威であり、
ゴルフが大好きな大井静雄先生が
書いたゴルファー脳の本。
ゴルファー脳という言葉は
大井先生から始まった。
脳の各部位の役割とゴルフスイングや
ゴルフのコースマネジメントなどが書かれる。
印象的だったのは、
「記録メモを残す、その際良い記憶しか記録しないこと」だ。
脳は感情の起伏が大きな出来事は記憶するしくみがある。
で、マイナスの感情を持ってしまうと
そのことは記憶されやすくなる。
そこで、マイナスの感情はもたない。
持ってしまった場合、
記憶にとどめない努力をする。
また、脳は好きなことで成熟する。
いやいややっていることは身に付かないというわけだ。
ポジティブシンキングは
脳発達科学の観点からも
理にかなった方法なのだ。
既にお気づきのように
この本の考え方は
日常のすべてに普遍化できる。
痛快!ゴルフ勉強法。―「ゴルファー脳」を味方につけてうまくなる (ゴルフダイジェスト新書)痛快!ゴルフ勉強法。―「ゴルファー脳」を味方につけてうまくなる (ゴルフダイジェスト新書)
(2009/01)
大井 静雄

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[ 2010/01/20 10:16 ] | TB(0) | CM(0)

どうしようもない恋の唄

1月18日分。
初めに言っておこう。
この本はエロ小説だ。
しかし、そのエロからこぼれる純愛がある。
男は自殺ができなかった中年オヤジ。
女は人がよくて、無防備なソープ嬢。
こう書くと紋切り型だ。
しかし、読み進めると
次第にリアルな二人の思いが立ちあがってくる。
途中でエロ小説として書かなければいけない
セックス描写が多いのは
ちょっと閉口するが……。
男はある商売を思いつき、
それによって成功への道をたどるかに思えるが
そこにヤクザの影がちらついてくる。
クライマックスへの怒涛の流れは
書き手の腕を感じさせる。
なぜ読んだか?
帯に「本文庫編集長が号泣!」とあるからだ。
また帯に引っかかった。
性描写がもっと少なければ
さらに純愛度が高まったと思う。
どうしようもない恋の唄 (祥伝社文庫 く 16-7)どうしようもない恋の唄 (祥伝社文庫 く 16-7)
(2009/12/14)
草凪 優

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[ 2010/01/20 10:08 ] | TB(0) | CM(0)

パレード

1月17日分。
読み終えて、タイトルの意味について考えてしまった。
この物語は、旧甲州街道沿いのマンションに共生する
5人の男女の物語だ。
1章ずつそれぞれの1人称で書かれていき
物語が進んでいく。
冒頭、大学生の杉本良介が
窓の外の車の列を見ながら
信号で皆止まって
ぶつからないのに感心するエピソードがある。
タイトルはここからか。
そして、当然のごとく
一人ひとりの社会での生き様も
そこにオーバーラップする。
しかし、実は……
この車たちは物語の佳境で
衝突し、事故を起こす。
そして、主人公の一人も。
それぞれに屈折した心の闇を抱えている
若い男女5人。
お互いにお互いの深層には触れないように
生活する5人。
そして、一番お兄さん格で社会人の井原直輝にも
ある秘密があったのだ。
解説の冒頭『こわい小説だ』というコメントが
読み終えて腑に落ちる。
怖いのは誰だ。
自分かもしれない。
なかなかにショッキングな小説。
山本周五郎賞受賞作だ。
パレード (幻冬舎文庫)パレード (幻冬舎文庫)
(2004/04)
吉田 修一

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[ 2010/01/20 09:52 ] | TB(0) | CM(0)

アイデアのつくり方

1月16日分。
アメリカ・シカゴの広告代理店の役員が書いたアイデア発想法の古典。
第一 資料集め--諸君の当面の課題のための資料と
一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
第二 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
第三 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが
自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
第四 アイデアの実際上の誕生。〈分かった! 見つけた!〉という段階。そして
第五 現実の有用性に合致させるために
最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。
アイデアのつくり方アイデアのつくり方
(1988/04/08)
ジェームス W.ヤング今井 茂雄

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[ 2010/01/19 09:51 ] | TB(0) | CM(0)

内藤雄士の500円で必ず上手くなるパッティング―ストロークの基本を知って絶対カップイン!

1月15日分。
ゴルフレッスン本。
内藤雄士はかなりたくさんの本を出している有名人。
これはパット本。
ポイントを整理。

●フェースを目標にスクエアに
●両手は柔らかく
●両手のひらを上に向けてパターを握る
●両手をダラーンと垂らした状態でパターを握る
●ヒジから親指の先まで一直線に伸びた構えが理想
●ボールは左目の真下
●肩は縦に動かす
●軽くて太い丸太を持って動かすイメージ
●カップの50センチ先にボールを止めるイメージ
内藤雄士の500円で必ず上手くなるパッティング―ストロークの基本を知って絶対カップイン! (GAKKEN SPORTS MOOK―パーゴルフレッスンブック)内藤雄士の500円で必ず上手くなるパッティング―ストロークの基本を知って絶対カップイン! (GAKKEN SPORTS MOOK―パーゴルフレッスンブック)
(2006/01)
内藤 雄士

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[ 2010/01/19 09:42 ] | TB(0) | CM(0)

わたしたちに許された特別な時間の終わり

1月14日分。
大江健三郎賞受賞。
劇団主宰。
その芝居を小説にしたら、賞取っちゃいましたという本。
小説で最近気になるのが、語り手の主体。
空から見たみたいな第3者なのか。
僕や私なのか。
そして、この小説は語り手がナチュラルに移動していく。
同じ段落の中でも移動する。
こうした語り手の揺らぎが不思議な感覚を醸す。

ひとつ目のお話。
イラク空爆開始。そのときに
偶然出会って渋谷のラブホで
4泊5日していた男女のお話。
すごく私的な出来事が、世界とつながっていく。
ひとつの象徴として読まれていく。

もうひとつのお話は
やはり主体の時系列までもが自由に飛ぶ。
私はうちのシーツの上に寝転んで
バイトを休んだ妻。
夫とのずれやネットを見ている感想などを
これもどこにでもありそうな今の私たちの日常を描く。
そして、バイトを2つも掛け持ちしている夫が
今ハンバーガーショップで休んでいる。
そのすぐそばにいる女性。
それは過去の彼女であったりした。
時系列も飛び越え、
主語も揺れながら、
当たり前の日常に
エアポケット的な空隙が広がっていく。
わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)
(2009/12/24)
岡田 利規

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[ 2010/01/18 12:27 ] | TB(0) | CM(0)

サッカーボーイズ 再会のグラウンド

1月13日分。
スポーツ小説は好きだ。
目覚めたのは、あさのあつこの『バッテリー』。
主人公が自分を妨げる者たちと戦っていく様が好きだ。
スポーツのシーンが勝っても負けても心にしみる。
で、サッカーボーイズ。
自らを草小説家と呼ぶ、はらだみずきの小説。
この小説の舞台は地域の少年サッカーチーム。
テーマは後悔だ。
主人公の6年生の武井遼介はキャプテンを外される。
挫折。
監督は奥さんが不治の病にかかっている。
コーチとしてやってきた監督の親友は
かつて率いたチームでの失敗を心に秘めている。
クラブチームを目指す星川はチームから浮いていく。
こうしたいくつもの後悔や挫折が折り重なり
チームは動いていく。
しかし、次第にそれぞれがひとつにな重なり始める。
どんなに戦っても草スポーツはそれだけだ。
そこだけだ。そこに悩みや後悔や嫉妬や怒りや涙があっても
それだけだ。
だからこそ、そこに喜びがある。
楽しさがある。
桜ケ丘FCの6年生のラストトーナメントには
万感の思いが重なって、涙があふれていく。
サッカーボーイズ  再会のグラウンド (角川文庫)サッカーボーイズ 再会のグラウンド (角川文庫)
(2008/06/25)
はらだ みずき

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[ 2010/01/18 12:13 ] | TB(1) | CM(0)

被疑者04の神託 煙 完全版

1月12日分。
松岡圭祐は初めて。
導入部は何かわけのわからない神事のシーン。
途中で何度読むのを止めようと思ったことか。
我慢して読み進むと、
一転時間が巻き戻り
煙草屋のおやじの日常に舞台が移る。
今は世捨て人みたいに煙草屋のオヤジやってるが
何だか過去に訳ありなオヤジ。
このオヤジと刑事が出会う。
伏線。
このオヤジが神事に立候補したわけだ。
そこから名古屋周辺と思わしい地方を舞台に
オヤジを取り巻くストーリーが動き出す。
ハードボイルド。
リアリティ。
このオヤジが襲われていたのを救ったのが
この地方の大手スーパーの一人娘。
そしてオヤジは娘を送って社長宅へ。
そこで再会する刑事とオヤジ。
社長はオヤジと同年代。
そこに実はオヤジの友の過去が絡んでくる。
途中から読み進むのが楽しくなってくる。
そして最後の大どんでん返しを見よ。
傑作だ。
こんなスタイルで
日本のハードボイルドは書けるんだ。
発想にうならされる。
被疑者04の神託  煙 完全版 (角川文庫)被疑者04の神託 煙 完全版 (角川文庫)
(2009/08/25)
松岡 圭祐

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[ 2010/01/18 11:56 ] | TB(0) | CM(0)

忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術

1月11日分。
投資の本はたまに読む。
これは毎月引き落としでインデックス投信などに
投資しようという本。
僕の年齢だと
こうした投資は違うんだなという本でした。
若い人がこうした投資はいいんじゃないかな。
忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術 (アスカビジネス)忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術 (アスカビジネス)
(2009/06/15)
カン・チュンド

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[ 2010/01/18 11:47 ] | TB(0) | CM(0)

動物化するポストモダン

1月10日分。
思想界でよく名前を聞く
東浩紀(あずまひろき)の著作。
この人はオタクに注目したことで知られる。
この本も日本のオタクに着目しながら
現代日本を見ていこうとする。
人は物語を求める。
なぜ生きているの?
生きている意味を求めようとする。
その中で意味性のある物語を求める。
社会全体でそれを共有するものとなってくれば
その基盤はいっそう強固になってくる。
宗教しかり、国家しかり、伝統しかり、文化しかり。
そして、そうした物語の喪失が現代の始まり。
そこからさらに…と東は分析する。

本文から引用する。
大きな物語による意味づけを運命だと考えるのか、
有限の可能性の束から選ばれた組み合わせの希少性を運命だと考えるのか、
おそらくここには、小説とノベルゲームの差異にとどまらず、
近代的な生の技法とポストモダン的な生の技法の
あいだの差異が象徴的に示されている。」

さらにこうしたポストモダン(=現代と簡単に理解しておこう)は
さらに変わっていると続ける。
「欲望」から「欲求」へ、その求める感覚が変化している。
これを「動物化」と呼んでいる。
これは他者の不在である。
他の人間を求めるのではなく、欲求のみを満たす消費行動になっているという。

人はそれで空しくないのだろうか。
大学時代、物を消費することで満足を得るスタイルに
空しさを感じたことを思い出した。
こうした生理を持つこと自体が
東のいうポストモダンな人間ではないのかもしれないが。
また、こうした人への欲望は、欲求として商品化されていく。

こうした分析を日本のオタクに注目して、東は導き出した。
社会の辺縁にこそ、その社会の本質が表れる。
この分析手法は伝統的でさえある。
そして、そこに明日への希望を見い出す思考方法も。
オタクに、日本の、そして、世界の明日を見い出そうとする
東のこれからは続編「ゲーム的リアリズムの誕生」に続く。
動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
(2001/11)
東 浩紀

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[ 2010/01/15 11:38 ] | TB(0) | CM(0)

生きてるだけで、愛。

1月9日分。
タイトルがいいね。
キャッチー。
タイトル買いの1冊。
登場人物も強烈。
思い込みの激しい激情型の女性が主人公。
テンション高いけど、ムラあり。
躁鬱病の女性。
鬱でうちを出られない彼女は
同棲相手の元カノに引っ張り出されて
元ヤンキーのやってるイタリアンレストランで
働くことになる。
この辺の振り回され感が
テンション低いときの彼女なんだけど
そのイタリアンレストランの人たちの
あったかい感じに触れて
ここでやっていけるかなと思うんだけど
あることをきっかけにキレる。
こういう女性を見ていると
世の中なあなあに渡ってる自分が
何か間違ってる気がしてくるんだよね。
自分を切り刻みながらの自己主張。
こうしか生きられない女性。
そして、その女性を受け入れ続ける
優しいというか、下がり続ける
同棲相手の男性。
この関係もお互いに必要にしてるんだろうなってわかる。
何か直情的に共感できる小説でした。
ちなみに作者の本谷有希子は
劇団の主宰者でもある。
どんな芝居か興味深い。
生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)
(2009/02)
本谷 有希子

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[ 2010/01/13 10:58 ] | TB(0) | CM(0)

1000の小説とバックべアード

1月8日分。
三島由紀夫賞受賞。
1980年生まれの若手作家の本。
賞をとった小説、若い世代に受けてるという情報のみで
とにかく読み始める。
物語は“片説家”という仕事を首になった男が
えっ、片説家?
特定の依頼人を回復させる文章で小説とは異なるそうだが
とにかくのっけからこんなに訳のわからない職業を
首になった男が出てくる。
小見出しも「展開は探偵小説的でかまわない」とか
何とも人を食った感じ。
このSFちっくな設定にまずついていけるかどうかが
読み進められるかどうかの分かれ目だね。
野田秀樹や渡辺えり子に芝居にちょっと似ている。
現実に虚構をまぜこぜにすることで
逆に現実が際立ってくる感覚。
で、読み進めるとどうやら本を巡る小説なのだ。
あちこちの台詞から現代の本が置かれた状況への思い
そして、小説への思いが立ち上ってくる。
展開はピストルが出てきたり、本当にサスペンス的で
そういう意味で舞台的な感じ。
タイトルの「1000の小説」とは
歴史に永遠に残る1000冊のこと。
この本に多くの作家は届かない。
「バックべアード」とは
作家崩れを地下図書館に拉致する謎の男。
こうして本を巡る戦いは
ベンガル湾でクライマックスを迎える。
SF的設定にふわふわとついて行きながら
最後にはなぜかちょっと感動していたりする。
この本は○。
また読み返してみたい。
1000の小説とバックベアード (新潮文庫)1000の小説とバックベアード (新潮文庫)
(2009/12/24)
佐藤 友哉

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[ 2010/01/10 09:31 ] | TB(0) | CM(0)

スパイダーマン

1月7日分。
映画スパイダーマン。
何をいまさらという感じだが
テレビ録画ゆえご容赦。
以前も見ているスパイダーマンを改めて観ると
現在3まで進んでいる状況では
最初のアクトであるスパイダーマンになるまでが
何とも好ましく、初々しく、共感が持てる。
スパイダーマンであるピーターは
弱々しく、悩み、大好きな彼女に告白できないでいる。
こうしたいじめられっ子がスーパーヒーローになるところが
アメコミとして人気を博しているところか。
ヒーローと思えない男がヒーローになる、というのは
ヒーローものの原則である。
しかし、スパイダーマンは蜘蛛男になるところが異色だ。
多分皆に嫌われているだろう蜘蛛。
だからこそ、スパイダーマンはバッシングにも合うのだと思う。
そしてヒーローになった後も悩み、苦しむ。
こうした人間味あふれるヒーローはやはり異色だ。
ヒーローをヒーローという偶像から
人間世界へ降臨させたという意味で
スパイダーマンは新しいヒーロー像を描き出している。
しかも、敵役となる人々が友だちの父親だったり、友だちだったり。
この辺も人間の世界を大いに投影している。
個人的には隣の家に住む大好きな女性とピーターが
ニューヨークの下町の貧しい家に住んでいて、
裏庭で出会い、お互いの境遇について話すシーンが好きだ。

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(2006/03/29)
トビー・マグワイアウィレム・デフォー

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グラスホッパー

1月6日分。
ネットに去年は伊坂幸太郎の年だった、と書いてある。
そうだろう。本屋に行くと文庫本の新刊で
何冊伊坂の本を見たことか。
で、伊坂幸太郎のグラスホッパー。
表題のグラスホッパーとはバッタのこと。
群衆相になったバッタは生き残りのために凶暴になる。
人間もまた、という意味。
この小説は3人の殺し屋が出てくるハードボイルド小説なのである。
途中までハードボイルドと気づかず、読んでいたが(笑)。
この殺し屋に関わる3人の1人称の語りで順番に語られる。
そして、3人は出会うことになる。
伊坂の本は去年嫌というほど本屋で見て
何冊か読んだのだが、どうも肌が合わない。
それはなぜか?
伊坂の小説にはある種の諦念、諦めがみてとれる。
それは現代、そして、この国への諦め。
村上春樹にしても、現代小説の語り部は
というか、現代に生きる人々は
今という時代への諦念を何らか抱えて生きている。
で、話を戻すと
村上をはじめ、これまでの小説では
諦念はある種のユーモアのセンスと伴って
表現されてきた。
それを伊坂は笑うともないかすかなユーモアにまで
低減してきた。
そこには何だか、生態学者が動物としての人間を見るような
奇妙な居心地の悪さがある。
伊坂は現代というより、
人間に諦念しているのでは。
その底冷えのするクールさが
前世代の僕には
相入れないのかもしれない。
とはいうものの、これからも
僕は伊坂を読むだろう。
で、合わないなといいながら。
このグラスホッパーは
3人の殺し屋が殺し合う話である。
そこに語り部としての鈴木という一般人が出てくる。
で、この鈴木が生き残っていくところに
何だかホッとしてしまう。
妻の指輪を追い求めるところに
何だか人間味を感じてしまう。
そんな小説。
グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー (角川文庫)
(2007/06)
伊坂 幸太郎

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[ 2010/01/07 10:32 ] | TB(0) | CM(0)

君たちに明日はない

1月5日分。
山本周五郎賞受賞。
主人公の村上真介はリストラ請負会社に勤務。
アウトソーシングされた会社に出向き
社員と面談して人を切る。
何だかギスギスした物語に見えるが
そこに生まれる人間模様が妙に読ませる。
真介はリストラ候補の人々の背景を
しっかりと調べる。
できる限りのことをして
そして面談に立ち向かう。
こうしたまっすぐな姿勢。
また面談で出会った陽子の
口説き方も面白い。
いきなりキスをする。
ロックコンサートに誘う。
ジャニ系のやや軽薄なルックスの真介。
しかし、芯はしっかりしている。
そして登場するリストラ対象者の人間造詣もうまい。
最後まで読ませる小説だ。
作者はこう書く。
「決定的な危機に出会って、
自意識のフレームが変容する瞬間を描いてきた」
この物語でもリストラという決定的な危機に出会い
登場人物たちは自意識が変容する。
そこが読みどころなのだ。
君たちに明日はない (新潮文庫)君たちに明日はない (新潮文庫)
(2007/09/28)
垣根 涼介

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[ 2010/01/06 09:27 ] | TB(0) | CM(0)

サブプライム後の新資産運用

1月4日分。
定期的に読む資産運用というか投資というか
そんな本。
要点を整理。

●国際分散投資、長期資産運用は間違い
●世界経済の流れを読め
世界経済=アメリカ経済
1 アメリカ雇用統計 非農業部門雇用者数の前月比増減数
15万人以上増加で堅調
2 ISM製造業景況指数
50以上で景気拡大
日本
日銀短観 大企業製造業の業況判断指数DI
●50代ポートフォリオ
景気拡大期
株式40% 外貨預金30% 現預金30%
景気後退期
株式0% 外貨預金50% 現預金50%
●外貨預金
ソニー銀行がおすすめ
●外貨預金のポイント
1 金利差(2国間の政策金利の差)
2 物価上昇率(消費者物価指数の伸び率)
3 経済成長率(実質経済成長率)
●外貨預金のポートフォリオ
ユーロ50% 米ドル20% ポンド10% オーストラリアドル10% ニュージーランドドル10%
●株式投資
ETFを選ぶ
ダイワ上場投信日経225 日経225連動型上場投資信託 上場インデックスファンド225
サブプライム後の新資産運用―10年後に幸せになる新金融リテラシーの実践サブプライム後の新資産運用―10年後に幸せになる新金融リテラシーの実践
(2008/07/18)
中原 圭介

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[ 2010/01/05 10:27 ] | TB(0) | CM(0)

しゃべれどもしゃべれども

1月3日分。
国分太一主演。
香里奈がヒロインの落語ムービー。
原作は読んでいるので、これが楽しむのは難しいところ。
本から入ると、ストーリー展開を知っているので
どうしても映画があらすじを追ったように見えてしまう。
そこをさっぴいて見ての感想。
出来はまあまあ。
本では見えてこない
今の東京下町の映像は良かった。
国分太一も原作の無骨な感じはないが頑張ってたと思う。
ヒロインの香里奈はきれいすぎて、キャスティングには?
好きになって行っちゃうのがわかるから。
この物語は困難を抱えた人々が
その困難に立ち向かっていくお話なのだが
どうしてもラブストーリーが前面に出てきちゃう。
お話は国分太一演じる三つ葉という二つ目の落語家が
香里奈演じる人と話すのが苦手な女性
関西弁が理由でいじめられている少年
しゃべりが苦手な元野球選手の3人を相手に
落語教室を始めることになり
それぞれの問題に前向きに立ち向かっていくというお話。
その副産物として主人公と女性のほのかなラブストーリーが
からんでくるわけ。
そのバランスが難しいところだけど
それぞれの問題をもっと冒頭でしっかり描いてほしかった。
それに対する取り組みもさらりとし過ぎていた感じ。
小説は各人の、特に主人公の心情が描かれるが
映画ではその辺は表情とかで表現されるにとどまる。
感情表現も抑えられていたので
もうひとつ情感が伝わりにくく
東京下町の情緒をバックにした
駆け出しの落語家と女性のラブストーリーに
見えてしまうところが残念なところ。
もっと問題点をクローズアップする
印象的なシーンがあっても良かったのでは。
見た人がもっと感情移入をできるように。
しゃべれども しゃべれども 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]しゃべれども しゃべれども 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]
(2007/11/09)
国分太一.香里奈.森永悠希.松重豊.八千草薫.伊東四朗

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螺鈿迷宮(上)(下)

1月2日分。
チームバチスタの栄光で一躍有名になった
海堂尊のミステリー。
今回は医学生の天馬大吉が主人公。
翡翠院桜宮病院に潜入するが
奇跡的にドジな看護婦により
怪我が重なり、入院するはめに。
どことなく独特のコメディタッチはいつもながら。
でも、今回はなかなか事件に行きつかない。
で、だるかったんだけど
何とか読みとおしました。
医療の問題で書きたいことがあって
そのために小説にしてるのかな?
今回のテーマは終末医療。
医療はどうしても重たいテーマになってしまうので
ユーモラスな語り口なのかな?
この人の本は何冊も読んでるんだけど
もう一つ文体が合わないんだよね。
でも読んじゃうのはなぜかな?
流行りものに飛びついちゃう
僕の性癖?
螺鈿迷宮 上 (角川文庫)螺鈿迷宮 上 (角川文庫)
(2008/11/22)
海堂 尊

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螺鈿迷宮 下 (角川文庫)螺鈿迷宮 下 (角川文庫)
(2008/11/22)
海堂 尊

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[ 2010/01/03 09:10 ] | TB(0) | CM(0)

天使のナイフ

今年の誓い。
1日1冊本を読む。または1本の映画を見る。
さて、どこまで続けられるか。
1月1日分は天使のナイフ。
ミステリーだ。
第51回江戸川乱歩賞というミステリーの登竜門を受賞。
文末の解説にある「ぶっちぎりの受賞だった」
という一言で買い。
主人公の桧山貴志は喫茶店のオーナー。
妻が殺された。
しかし、3人の犯人は13歳の少年だった。
立ちはだかる少年法の壁。
3人の少年は罪に問われることはなかった。
4年後、その少年のうちの一人が殺される。
しかも、桧山のお店の近くで。
疑いをかけられる桧山。
桧山はその死にある疑惑を感じる。
そして、調べ始めるうちに
妻の死に、そして妻の人生に
大きな謎が隠されていた。
妻が殺される、という出だしから
復讐譚かと思いきや
そういったハードボイルドではなく
むしろ焦点は少年法。
少年法により、犯罪を犯した少年は
罪を問われることなく、更生が促される。
一方、被害者の家族は
少年法の壁により
加害者を知ることもできず、
無念のまま生きることを強いられる。
(一部改正されて、
家裁などの記録の閲覧が
できるようになったそうだが)
こうした少年犯罪の
加害者と被害者に焦点を当てた小説だ。
ミステリーとしてはストーリー展開が少し遅く
サプライズまでの過程のダイナミックさにかけるきらいはある。
少年法という題材にきっと審査員たちは
新しさを感じたのだろう。
桧山の周辺の人々が
ほとんど少年犯罪にかかわっていたというのも
偶然性が高すぎるきらいはある。
ただ、主人公が経営する喫茶店や
主人公の4歳の娘が通う保育園など
読んでいてシーンとしての面白さはある。
ただ、これらもラストに近づくに連れて
サプライズな展開のため
魅力が失われていくが……。
少年犯罪、その加害者と被害者の物語
4歳の娘を持つ喫茶店オーナーの日常
妻の死に隠されたいくつもの秘密。
これらをもっと整理して
どこかに焦点を合わせれば
もっと力強い物語となっただろう。
天使のナイフ (講談社文庫)天使のナイフ (講談社文庫)
(2008/08/12)
薬丸 岳

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[ 2010/01/02 08:22 ] | TB(0) | CM(0)
プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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