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本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2010年12月

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略~

ただ。だからお金が生まれる。

一見逆説的なこの論理。
その背後にはデジタルという領域がある。

無料のルールを作者はこう説く。

①デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる。
②アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない。

ちなみに「アトム」とは、原子の意味でモノの経済を指す。

③フリーは止まらない。
④フリーからもお金儲けはできる。
⑤市場を再評価する。
⑥ゼロにする。
⑦遅かれ早かれフリーと競い合うことになる。
⑧ムダを受け入れよう。
⑨フリーは別のものの価値を高める。
⑩希少なものではなく、潤沢なものを管理しよう。

一番気になるのが
無料からどう儲けるかであろう?
ビジネスであれば
ボランティアをし続けているわけにはいかない。


いちばん身近なフリー戦略の例は
グリーやモバゲーなどのフリーゲームだろう。
無料でゲームができる。
しかし、より有効なアイテムなどを
手に入れるためにはお金が必要になる。

本書で注目したいのが
物語性という言葉だ。


情報は、デジタルは
無料になりたがる。
その流れに逆らえないとすれば
無料にする意味は何だろう。
それはコミュニティの成立であり
そのためには
物語性が強く要求されるのだ。


そして、コミュニティができれば
そこにビジネスチャンスは
おのずと生まれる。
であれば!
注力すべきは
物語性の創出なのだ。
それを波及するためにこそ
「無料」が力強い。



フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
(2009/11/21)
クリス・アンダーソン

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[ 2010/12/31 21:20 ] | TB(0) | CM(0)

ロマン・ポランスキーの吸血鬼

ドラキュラとは誰か。
ドラキュラとは何か。


dorakyura


人類を滅亡させる病が世界に蔓延する。
それは人間自身の中に潜む残虐性かもしれない。


ホラーを期待して観ると
肩すかしを食う。
しかし、観終わって
時が経つほどに
込み上げてくる恐ろしさ。
ホラーとは人類自身が内包する
残虐性かもしれない。

ポランスキー監督は
ユダヤ人として
ナチスの迫害を受けた経験を持つ。
その経験がすべての映画に
色濃く出てくる。

当然かもしれない。

生死を分ける経験は
その人の一生に影響を与える。


雪深い山奥の城で繰り広げられる
どたばたのコメディー。

ドラキュラ軍団と
博士と助手(ポランスキー自身が演じている)の
果てしない追いかけっこ。

そのばかばかしさは
人類の愚行を
表しているよう。


ラスト。

博士と助手は
美女を救い
そりで逃げる。
しかし、美女はすでに
吸血鬼に。

そして、世界に蔓延する吸血鬼。

ポランスキーが観た世界。
それは人類の悪行が
伝播し、蔓延していく
大いなる恐怖だった。



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剃刀の刃

ビル・マーレイを見よ。



ビル・マーレイは不思議な役者だ。

ただ立っているだけで
哀愁と人生を感じさせる。
そんな役者はめったにいない。


ソフィア・コッポラ監督の
『ロスト・イン・トランスレーション』でも
東京の人ごみに立ちすくむだけで
異邦人を見事に表現していた。


その先駆けとなるのが映画だ。

戦争の傷心からの恢復の物語だ。

戦争は人を壊す。
死んだ人はもちろん
生き残った人をも。


恋人と別れ
パリ、チベットと流浪するマーレイ。

苦悩からの解放。
それは
剃刀の刃を渡るように
困難なものなのだ。

再び舞い戻ったパリで
かつての友人の妻と再会する。
その妻は娼婦に身を落としていた。

次第に惹かれ合う
マーレイとその女性。

しかし、映画は悲劇を用意していた。

その女性は殺されてしまう。

そのとき
ただ立ちすくすだけのマーレイ。
全身から
その瞳から
悲しみがあふれだす。


あきらめること。
すべてを受け入れること。
運命とはあらがえない。
わかっていても
悲しみは人生に色を落とす。

コメディアンからシリアスな役者への転身。
マーレイの渡った
剃刀の刃がここにある。



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残光

守るべき人がいる。
その強い思いが泣かせる。


その人がひとたび窮地に立てば
男は山を降りる。

主人公の名は、榊原健三。
かつて“凄腕の始末屋”として
恐れられた男。


テレビでかつて愛した女の窮状を見た男は
単身札幌へ向かう。
冬の北海道を舞台にかつてない戦いが始まる。

健三は人質にとられた
かつての彼女の息子・恵太を救いに
札幌へ向かったのだ。
しかし、この人質事件はやがて
道警の腐敗を暴きだす大事件へ発展する。

圧倒的な強さをもつ健三。
次々と敵を倒していく。
その強さが爽快だ。

健三は恵太を守るため
道内を動きまわることになる。
そこに太っちょの「便利屋」も同行として加わる。
この奇妙な3人組が心に響く。

子どもと健三の心の交流がいい。
かつて愛した女の息子へのいとおしみ。
男としての強さを伝える意志。


しかし、健三と恵太、便利屋には
道警の腐敗を隠蔽しようとする
ヤクザ組織、そして悪徳刑事が
たばになって襲いかかる。
緊迫の展開。

そのとき。

健三のかつての兄弟分で
関西ヤクザに対立する桐原組長の
健三への思いがいい。


そして、クライマックス。
助けに来た桐原組の組員もやられ
ビルの屋上で恵太ともども
あわや風前のともしびの健三がいる。

そのとき。

DJの活躍がいい。
ラストのどんでん返しがいい。


こうした窮地の脱出の仕方もあるのかと舌を巻く。

最後に、健三は恵太と別れる。

この別れのシーンがいい。
泣きそうになる恵太に健三は言う。

「お母さんに会ってから、泣け」

そして、男は山に帰る。
また、守る日のために
爪をとぐ。

第54回日本推理作家協会賞受賞
傑作ハードボイルド。
それが『残光』だ。


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(2003/08)
東 直己

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[ 2010/12/25 08:01 ] | TB(0) | CM(0)

スウィート・ノベンバー

「私の11月だけの恋人にならない?」
永遠の愛はその一言で始まった。

晩秋のサンフランシスコ。
深まりゆく美しい季節の中で
シャーリーズ・セロンが切ない。
キアヌ・リーヴスが哀しい。

でも、人生について、
仕事について
愛について
生きることについて
深く深く考えさせる映画。


二人が出会ったのは
免許の更新会場。
リーヴスのせいで更新できなかったセロンは
リーブスにおしかけ、車で送らせる。
二人が行ったのはとある実験室。
モルモットにされる犬を救う。
そして、さらに……

「私の11月だけの恋人にならない?」
永遠の愛はその一言で始まった。

条件は2つ。
セロンの家にいっしょに住むこと。
仕事をしないこと。

セロンの奔放な行動によって
リーヴスは次第に解放されていく。
人生って重荷を脱ぎ捨てたら
こんなに楽しいんだ、こんなに素敵なんだ。

次第に深く愛し合う二人。
しかし、セロンには秘密があった。

それは余命いくばくもない末期ガンであること。

リーヴスがクリスマスに
たくさんのプレゼントを持って
セロンに再びつきあうことを
告げるシーンがいい。
愛を一杯感じる。


でも、セロンは別れを告げる。

「あなたの中でずっと
きれいな私でいたいから」


ラストの別れ。
リーヴスが振り返ると
セロンの姿は消えていた。
永遠の別れ。
もう二度と会うことはない愛。

晩秋のサンフランシスコは
切ないほどの悲しみにあふれていた。



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キアヌ・リーヴス、シャーリーズ・セロン 他

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赤い文化住宅の初子

8月15日分。
この映画はいい。
なぜだろう?
主人公の初子はぼろぼろの文化住宅
(関東でいうアパートですね)に住む高校生。
父は蒸発、母は事故死
兄はヤンキーで仕事を辞めるは
大学進学もままならない。
けれど、陰惨ではない。
切ないが、その背後に優しさが見え隠れする。
それはこの映画全体が『赤毛のアン』へのオマージュであり
アンのように初子も妄想にあふれ
その妄想が初子を、そしてアンを
世界中で不幸な人々を自ら救うからだ。
監督は赤貧を描いてはいるが
不幸を描いてはいない。
そして、初子に心を寄せる
まっとうな高校生男子の存在も
救いとなっている。
全体のゆるいテンポもいい。
そして、ラストで赤い文化住宅は
戻ってきた父とともに燃え落ちてしまう。
それは新しい旅立ちのための
通過儀礼にも似て。
ビスケット工場で働く初子。
お土産でもらってきてはビスケットをガリリとかじる。
高校生男子との別れのシーンでも二人でかじる。
かすかな幸せの味。
明日はきっといいことがある。
と思ってしまう映画。

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佐野和真、東亜優 他

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ライラの冒険

8月14日分。
ネットではあまり評判が良くない。
原因はファンタジー小説が原作の作品につきものの
「想像していたのと違う!」という意見。
ストーリーを簡略化しすぎという非難。
まあ、それはそれとして。
僕は幸か不幸か原作を読んでいないので
それなりに楽しめた。
ライラは12歳の少女。
演じるはダコタ・ブルー・リチャーズ。
めちゃ可愛いというのではなく
意志がある感じがいい。
住む世界は今の僕たちの住む世界と
似ているけど違う無限にあるパラレルワールドのひとつ。
そこでは誰にも魂が表現された分身である
「ダイモン」と呼ばれる動物を持つ。
それぞれの登場人物が
動物を従えて現われるのには
最初は奇妙な感じがあったが
次第に魅力的に感じてくる。
これは映像の良さであろう。
この動物がそれぞれ違う。
敵役のクールビューティのコールター夫人
ニコール・キッドマンには
ゴールデン・モンキー。
主人公のライラには変身する
ネズミのような小動物のパンタライモン。
キッドマンとリチャーズが争うシーンでは
モンキーがライモンを襲い
ライモンが抑え込まれると
ヒロインのリチャーズも苦しがる。
そういう関係だ。
物語はキリスト教が絶対的な権力を持つ世界で
ヒロインのリチャーズが大学の寮から出て
一度はキッドマンのそばにいるが
その悪党ぶりに気づき脱出し
真理計を操りながら
海賊や熊の協力を得て
氷原にある悪の組織の研究所を襲い
さらわれた子どもたちを解放するまでを描く。
飛行船が飛ぶ奇妙なレトロ感。
ダイモンという動物たちの不思議な存在感。
そして、キッドマンの美しい悪女ぶり。
物語は原作をかなりそぎ落としたものだろうが
映画としてのワンダー感に満ちている。
続編は興行失敗で作られる予定がないとか。
少し残念だ。

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カースド

8月13日分。
『スクリーム』の監督・脚本コンビが贈る
野獣系ホラームービー。
舞台は現代のLA。
TV局の女性クリスティーナ・リッチと弟で学生のジェシー・アイゼンバーグは
ロサンゼルス、マルホランド・ドライブで満月の夜に対向車と衝突事故に遭う。
そのときに謎の黒い影が。対向車の女性は殺され、二人も負傷する。
その後、二人に変化が起きてくる。
研ぎすまされていく感覚、
驚異的に高まる身体能力、
血の匂いと生肉に惹かれる嗜好、
手のひらには遂に“野獣の呪い”の刻印が現われる。
この辺はどうなっちゃうんだろうというドキドキ感であふれます。
そして、事件は次の被害者が現れてしまい、
一転元凶となったウルフマンは誰なんだろうという
謎解きとアクションの世界へ。
途中弟のアイゼンバーグが強くなり、
スポーツで活躍しちゃったり、女性にもてたり
恋敵の男の子と仲良くなったり
その辺は学園コメディ的に観られておもしろいです。
で、クライマックスはリッチの彼氏がオープンしたお店の
オープニングパーティー。
ここで殺人事件が起き、
ウルフマン探しに兄弟が大活躍。
ラストはハッピーエンドで
ほっとできました。

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エミリー

8月12日分。
“嶽本野ばら”は好きな作家です。
作品に出てくるロリータファッションはチンプンカンプンだし
乙女心を持ってもいないとは思うのですが。
主人公たちのいさぎよさに惚れます。

『エミリー』はある種の教養小説だと思います。
『エミリー』には3本の作品が収められています。

『レディメイド』はタイトルからもわかるように
デュシャンなどのアートを題材としながらの恋愛物語が描かれます。
一番短いのですが、デュシャンが創り出す
コンセプチャル・アートのように難解です。
何度読んでもなぜこの恋愛に
『レディメイド』というタイトルがつけられたのか理解できません。
既製品の恋? 違いますよねえ。
なぜ? なぜ? と読者に考えさせる辺りにヒントがあるのでしょうか。

『コルセット』は、自殺をしようと考えた男性が
最後に通院する病院の受付嬢をデートに誘うところから始まる恋愛物語です。
衣装に関する展覧会に誘い、そこで展示されているのがコルセットです。
コルセットは既成観念の象徴として見られることができ、
そのコルセットを投げ捨てて、男性と女性は不倫に進むことになるのです。

表題となった『エミリー』は、
野ばらさんお得意のロリータ娘と
ホモセクシュアルの男の子の恋愛物語です。
二人がさまざまな経緯からラブホテルで一夜を過ごす下りは
SEXをできないだけに、もっともピュアな恋愛の姿だと感じました。
このお話が一番物語性も強く、そこにはいじめや少女期における性的虐待など
とても重い、現代が抱える問題を秘めています。
しかし、二人は
とてつもなく潔く、とてつもなく強く、とてつもなく美しい心で
生きていく、生きていかざるを得ないところに
胸が詰まるものを感じます。
私たちはそれぞれに複雑な事情に立ち向かっていかざるを得ません。
生きにくい時代に生きているのかもしれません。
そのとき、潔さだけが、生きる力をもたらしてくれる。
そこにしか救いはないのかもしれません。

そして、私は『レディメイド』の表題の意味を求めて
深い迷宮に入っていくのです。

エミリー (集英社文庫)エミリー (集英社文庫)
(2005/05/20)
嶽本 野ばら

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[ 2010/12/16 16:46 ] | TB(0) | CM(0)

海辺のカフカ

8月10日分。
8月11日分。
戦後の後片付けをしなくては。
村上春樹さんの『海辺のカフカ』を読みました。

村上春樹の小説はメタファーに満ちています。
この本を読み終わって、
戦後の後片付けをしなくてはと強く感じました。

第二次世界大戦
西洋文化の流入
ニート
高齢化する日本
個化する家族
異界への希求という危険
がむしゃらに働き続ける危うさ
オウム事件
テロ

私たちは掛け違えたボタンを
きちんと賭け直すことから始めよう。
そんなことを感じた上下2巻の旅でした。

村上春樹は図書館から出て
フィールドを歩き回り
世界の縁まで行って帰ってきました。
日本へ、東京へ、私たちのもとへ。

主人公のカフカという名の少年は
いつも私たち自身なのです。

海辺のカフカ〈上〉海辺のカフカ〈上〉
(2002/09/12)
村上 春樹

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海辺のカフカ〈下〉海辺のカフカ〈下〉
(2002/09/12)
村上 春樹

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[ 2010/12/16 16:37 ] | TB(0) | CM(0)

獄窓記

8月9日分。
刑務所に入った議員はどんなことを考えていたのか?
元衆議院議員・山本譲司さんの『獄窓記』を読みました!
新聞広告の柳葉敏郎氏のコメント
「こんなにも涙した本はない!」に惹かれて買った本。
私は広告屋ですが、
広告屋は乗せられてしまう体質なんですね。
乗せる人だから、乗りやすい感じ。
あとは究極の興味本位。
国会議員という偉い先生が、
刑務所に入るとどんな扱いを受けるのか。
どんなことを考えたのか。
そして、なぜ、この本を書いたのか?
自分の立場をよくしよう? お金儲け?
いろいろ邪推しながら読みました。
山本譲司さんは、秘書給与詐取事件で
実刑判決を受けて刑務所に入ったのです。
その辺の経緯から新米受刑者としての日常、
障害を抱えた同囚たちの世話をするようになったこと、
出所までの日々が、本当にていねいに、こと細かに書かれています。
記憶力がいいなあと思います。
看守たちの扱いは意外と紳士的なんですね。
映画で見るような看守と受刑者の葛藤もなくはないにせよ、
山本さんが描きたかったのはそこではなく、
刑務所という施設のあり方や、そこで学んだこと、
自らの「人生の学校」としての刑務所の姿を
ありのままに描きたかったのですね。
自分の刑務所での経験を書くことは
葛藤があったと巻末で書いています。
プライドの高い人ほどそうでしょう。
でも、この一冊は、ちょっとかっこいい部分はあるにせよ、
自らのその時々の気持ちや日常を
ありのままに描いている点でとても好感が持てます。
そして、刑務所内で出所を間近に控えて
亡くなってしまう受刑者の話には、涙が出てきました。
作ったドラマではなく、本当の人間ドラマが描かれています。

獄窓記獄窓記
(2003/12)
山本 譲司

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[ 2010/12/16 16:31 ] | TB(0) | CM(0)

KAGEROU

12月15日分。
マスコミの45万部初版の報道に負け
発売初日に買ってしまいました。
こうした行動を多くの読者にさせた今回の販促は
大成功ということでしょう。
内容についてはネット上で悪評さんたんたる有様ですが
そんなに悪くないと思われます。
インタビューで作者が「命」を語り
どうしてもそうしたヒューマンな印象で読んでしまうと
批判めいた結論になるのでしょうが。
文章は確かにそんなにうまくはありません。
しかし、構成は破たんがなくできており
そこを評価した受賞だと思うのです。
もう少ししゃれたエピソードが盛り込めて
もう少し文章が軽妙洒脱であれば
なお良かったですけれどね。
廃墟と化したデパート屋上の遊園地。
そこで自殺しようとしているヤスオの前に現れた
黒づくめのキョウヤ。
彼はある団体の使者だった。
この遊園地のシーンは
ちょっと若書きですね。
なかなか気持ちが入っていかなかった。
稚拙さは感じました。
そしてどこかで読んだ既読感もありました。
伊坂 幸太郎だったらもっとしゃれて書くんだろうなという印象。
チャプター2以降はテンポが出てきて
物語が動いていく感じがありました。
全体のストーリーテリングは山田悠介ならもっと徹底したかなという感想。
ラスト付近で作者のいう「命」についてヤスオが思いを語る部分がありますが
ここがもうちょっとがんばれていれば、
もっと感動的な物語になったと思うんですけどね。
タイトルの「KAGEROU」もちょっと内容と合わない気がします。
明快な読みやすさは今という時代に合っているかな。
脚本的な印象もありました。
次回作に期待しましょう。

KAGEROUKAGEROU
(2010/12/15)
齋藤智裕

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[ 2010/12/16 14:00 ] | TB(0) | CM(0)

キャッチボール屋

8月8日分。
日本映画だなと思わせる作品。
主演・大森南朋。
10分100円のキャッチボール屋。
それが大森。それも自ら選んだわけでもないのに
いつのまにか引き受けている。
ゆるりと特に大きな事件もなく。
公園で何となく引き受けたキャッチボール屋を続ける大森。
常連さんたちがふらふらとやってきてはキャッチボールをしていく。
それぞれに過去に後悔があって、それを埋めようとするように。
でも、ゆるい感じだから、ほとんど事件は進行しない。
ファンタジーのような競争心のないあくせくしない日常。
そこに憧れる僕たち。
最後に常連さん2人が実は高校野球時代の後悔を引きずっていて
その対決がクライマックス。
そして、それぞれが新しい日常へ戻っていく。
公園のような。一息入れに来たような。
休みに来たような。そんな映画。

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(2007/05/25)
大森南朋、キタキマユ 他

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孤独な嘘

8月7日分。
原題は『SEPARATE LIES』。
「それぞれの嘘」といった意味だろう。
「孤独な嘘」は名訳だが、情緒に流れる感がある。
嘘がキーとなってくるラブサスペンスムービー。
冒頭のどかな森の中を走る自転車に乗る年配の男が
突如車にぶつけられる衝撃的なシーンから幕が開く。
トム・ウィルキンソンは妻エミリー・ワトソンと
ロンドン郊外に住む弁護士。
田園生活を楽しんでいたが
家政婦の夫が自動車事故に遭い
死ぬという事件に遭遇する。
近くに住むルパート・エヴェレットの車に
傷がついているのを発見し
それを問いただすのだが、
実はそのルパートと妻のワトソンが浮気をしていた。
そして、車で家政婦の夫をはねたことを告白するが
実は運転していたのは妻のワトソンだった。
当初はエヴェレットに自首を勧めていたが
ワトソンが起こした事件と知って
隠し通そうとするウィルキンソン。
浮気相手と妻、その夫の奇妙な共犯関係がそこに生まれる。
この映画はネットであまり評判が良くないようだが
基本的に浮気がらみの映画は
女性には拒否反応があるようだ。
さておき、警察が3人に事情聴取をする。
ワトソンは家政婦にすべてを打ち明ける。
家政婦は盗みの前歴があった自分を
気にせず雇ってくれたワトソンに
感謝と友愛を感じていた。
そして、すべてを打ち明けると
警察を呼んだワトソン。
そこにウィルキンソンとエヴェレットも揃う。
そして、そのとき、家政婦は証言を翻し
主人を轢いた車を見ていないと言い切る。
警察は引き下がらざるを得ない。
主人を亡くした無念さをもちながら
ワトソンへの友愛と感謝でそう語る家政婦の発言には
かなりの衝撃と驚きと感動があった。
その後、エヴェレットへの愛を断ち切れないワトソンは
エヴェレットが病魔の床にあると
ウィルキンソンに告げられ、
ウィルキンソンのもとを去り、
エヴェレットの看病へ向かう。
そんな妻に対し、ウィルキンソンは
いつまでも愛し続けていると会いに行って告げる。
ちょっと弱々しい感じではあるが
若い奥さんをもらった中年男性の溺愛が感じられる。
最後にエヴェレットが亡くなり
夫婦は元に戻ることなくエンディング。
それぞれの嘘が、それぞれの人生を別れさせていく。
そんなラストシーンだ。

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今こそアーレントを読み直す

8月6日分。
ハンナ・アーレントはドイツ出身、アメリカ合衆国の政治哲学者・思想家。
ドイツ系ユダヤ人。1906年~1975年。
ナチスによるユダヤ人迫害を逃れるため、
フランスを経由してアメリカに亡命した。

この本はアーレントの現代的な意味を読み解いている。
アーレントが政治学者として注目されるきっかけとなったのは
『全体主義の起源』という著作。
「全体主義」を、西欧近代が潜在的に抱えてきた
矛盾の現われとして理解しようとする。

「全体主義」は全近代的な野蛮の現われではなくて、
大衆民主主義社会に起因する問題だと見た。
しかも、この三巻構成の著作を通して
現状を打開する処方箋を示そうとはしていない。
ここが「あえて」だと思えるかどうかが
アーレントのファンになれるかどうかの分岐点であると著者はいう。

全体主義発生の過程は
「反ユダヤ主義によって全体主義のための物語的な素材が用意され、
 国民国家の生成と帝国主義によって大衆社会が醸成され、
 その経済的・社会的存立基盤が大きく変動し、大衆が動揺し始めた時、
 そうした大衆の不安を物語的に利用する世界観政党・運動体が出てきた」
と著者はまとめる。

ここが白眉であるが
「肝心なのは、各人が自分なりの世界観を
 持ってしまうのは不可避であることを自覚したうえで、
 それが『現実』に対する唯一の説明ではないことを認めることである」
とする部分だ。

誰でも自分の考え方や思想が正しいと
無意識のうちにフィルターがかかっていく。
それは右も左もない。
その危険性を常に意識することが大切だ!
というのがこの著書の勘所だと感じた。

そして、このことは「党派性」への危機感へとつながっていく。
群れをなすととかくその「党派」内の物語に左右されがちだ。

また、ナチスの悪の象徴的なアイヒマンの裁判を傍聴して
アーレントはこう分析したと著者はいう。
「平凡な生活を送る市民が平凡であるがゆえに、
 無思想的に巨大な悪を実行することができる」

さらに
「『社会的領域』において阻害が進行し、
 人間らしさが失われていくにつれ、
 人々は『親密圏』の中に、
 “人間”らしい魂の繋がりのようなものを
 求める傾向を強めていく」とアーレントは指摘するという。
そこにのめり込んでしまって、公的活動を放棄する危険性を語っている。

アーレントは
「未来」志向の「意志」と対比する形で
「判断」を「過去」志向の精神の作用として性格付けている。
そして、「判断力」は、「過去」と「現在」と「未来」を、
そして個人の「精神の生活」と「活動的生活」を結ぶ、
極めて重要な能力だと、著者はラスト近くで位置付ける。
 
まとめとして
「彼女の『政治』哲学からすれば、
右であれ左であれ、『人間の自然な本性』を一義的に定義し、
人民を最終的な『解放』へと導こうとするような思潮は、
『複数性』を破壊し、全体主義への道を開くものに他ならない」

今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)
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仲正 昌樹

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ゲッタウェイ

8月5日分。
懐かしいスティーブ・マックィーン主演のギャング映画。
逃げろ! 逃げろ!とばかりに動きまわる。
この映画、裏切りやだましの連続。
テキサスの刑務所から出所したマックィーンは
さっそく銀行強盗をやらかす。
仲間は出所を早めてくれた大物の紹介。
この辺がうさんくさい。
で、銀行強盗は何とかうまくいくが
仲間の一人がやっぱり裏切る。
仲間の一人を射殺してまクィーンも殺そうとする。
が、すかさず撃ち勝ち、金をもって妻と逃げる。
列車を待つ駅でコインロッカーにバッグを入れようとする
妻を行きずりの人が助けてくれるが
こいつが騙す。
キーをすり替えてバッグを取ってしまう。
そこでマックィーンが列車に乗り込み
男の正面に座り、荷物を奪って無事生還。
しかし、この事件で面が割れてしまい
警察に追われることに。
バッグを持って、大物と会うが
実はその大物は妻と寝ていた。
妻が銃をマックィーンに向ける。
妻の裏切り。
でも、殺されたのは大物だった。
そして、メキシコへと逃げようとする
マックィーンと妻。
追う大物の手下、裏切った銀行強盗の仲間、そして、警察。
ある街で車を停めて買い物をしていると
警察に通報される。
そこで、銃を買ってパトカーを吹き飛ばし逃げる。
さらに追われて、ゴミ収集車のゴミに埋もれて脱出。
この辺、逃げ切れるのか、どうなのかとハラハラドキドキの展開。
しかも、妻とは寝た件でギクシャク。
そして、メキシコへ脱出するキーとなるなじみのホテルに入るが、
そこには大物の手下と強盗仲間が待ち伏せていた。
ここでの銃撃戦がクライマックス。とにかく激しい。白眉。
そして、最後に打ち勝ったマックィーンと妻はメキシコへ向かう。
ハッピーエンドが珍しいギャング映画だ。
ストーリーのプロットや
息つかせぬアクシデントの発生や解決が
今観てもウィットに富んで面白い。
迫力だけではない魅力にあふれる。
さすがサム・ペキンパー監督。
さすがウォルター・ヒル脚本。


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(2010/04/21)
スティーブ・マックィーン、アリ・マッグロー 他

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サハラに舞う羽根

8月4日分。
戦争映画。
しかし、本質は自分探し。
舞台は19世紀末の英国、そして、戦地である砂漠のスーダン。
英国士官であるヒース・レジャーは、ケイト・ハドソンと婚約している。
そして、レジャーたちの部隊はスーダンへ反乱軍鎮圧を命じられる。
しかし、レジャーは戦地に赴くことを拒否し、除隊する。
士官学校の友人たちから送られた臆病者を意味する白い3枚の羽根。
そして、何と4枚目を送ったのは婚約者のハドソンだった。
失意のあまり、レジャーは茫然自失となり
悩んだ結果、友たちを助けるために単身スーダンへ渡り
現地の人間になりすまして、英国部隊を見守る。
途中出会った現地の雄士と知り合い、
この雄姿がレジャーの助っ人となる。
しかし、英国軍は反乱軍に取り囲まれ
砂地で一敗地にまみれる。
このシーンの映像が印象的。
英国軍が指揮官を中心に鉄砲隊を周辺に配し四角い陣を作る。
そこへ迫ってくる馬上の敵の集団。
英国軍は壊滅目前で味方の援護を受け
何とか壊滅を免れる。
そこに至る戦争の凄みが見事に描かれている。
この戦いでレジャーの一番の友人であるウェス・ベントレーは失明する。
目の見えない彼を死地から助けたのはレジャーだった。
英国に戻ったベントレーは手紙のやりとりで想いが深まったハドソンと結婚する。
時は経ち、敵に捕まったレジャーも何とか脱出し、英国へ戻る。
そして、親友とかつての婚約者の結婚を知る。
二人のもとを訪ねたレジャー。
ベントレーは自分を助けたのがレジャーだと知り
ハドソンは白い羽根を送ったことを後悔し続けていたが
いまもやはりレジャーを愛していることを確認し
レジャーとハドソンがいっしょに生きていくことを予感させるエピローグとなる。
レジャーは送られた4枚の羽根を肌身離さず持ち続け
それを守り神のようにサハラで生き、放浪し、英国軍の友を助け
生き伸びて帰国する。
タイトルの意味がこの羽根なのだ。
英国文学の名作を映画化したこの映画。
英国の独特のゆったりとした流れをもっている作品だ。
ただ、戦争の恐ろしさは描かれているが
あくまで英国側からであり、反戦映画ではない。
むしろ、19世紀英国を背景にした
人間ドラマとして観た。


サハラに舞う羽根 [DVD]サハラに舞う羽根 [DVD]
(2004/01/23)
ヒース・レジャー、ケイト・ハドソン 他

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ブラフマンの埋葬

8月3日分。
ブラフマンとは何なのか。
僕はなぜ「創作者の家」で世話の仕事をしているのか。
雑貨屋の娘は誰と会っていたのか。
謎の多い物語。
そして、謎は謎のままで終わっていく物語。
主人公の僕は「創作者の家」で
そこに宿泊する芸術家たちの世話をしていた。
突然けがをして舞い込んだブラフマン。
動物のようだが、最後までその正体は明かされない。
サンスクリット語で「謎」を意味するその名のように。
僕が好意を寄せる雑貨屋の娘は定期的に電車でその町を訪れる男と
古代墓場で会っているようだ。
僕は娘に自動車の運転を教えたり、少しずつ距離が縮まっていくように見えた。
しかし、夏が終わったころ、僕が隣に乗り、娘が運転する車の前に
ブラフマンが飛び出し、ブラフマンは死ぬ。
そして物語はブラフマンの葬式について淡々と箇条書きで描かれ終わる。
謎は謎のまま。ブラフマンの死とともに
僕と娘の関係も止まったまま。

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)
(2007/04/13)
小川 洋子

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[ 2010/12/08 10:11 ] | TB(0) | CM(0)

フロム・ヘル

8月2日分。
ジョニー・デップ×切り裂きジャック。
サイコスリラームービー。
19世紀のロンドン。
薄暗い夜に起きた5人の娼婦の連続殺人事件。
犯人は誰が呼んだか切り裂きジャック。
デップ演じるアヘン中毒の刑事が
犯人に迫る。
知り合った娼婦ヘザー・グラハムと恋に落ちるが
そのグラハムに切り裂きジャックの魔の手が忍び寄る。
犯人は誰なのか?
なぜ娼婦ばかりが狙われるのか。
19世紀ロンドンの街並みや馬車、貴族たちや娼婦の意匠が見事に再現され
物語に陰影を映す。
何よりアヘンとアブサンに侵されたデップの揺れるような立ち振る舞いが
観る者を危険な濃密な世界へと誘う。
たびたびグラハムに迫るジャックの魔の手。
凶器が医者が使うリストンナイフという鋭利な刃物であることも恐怖を醸す。
ラストはグラハムの命を救ったデップであったが
静かに息絶えていた。切ない恋の終わりであった。
暗い世界にほのかに芽生える恋と人生の末路。
ロンドンは闇に包まれていた。

フロム・ヘル [DVD]フロム・ヘル [DVD]
(2006/12/01)
ジョニー・デップ、ヘザー・グラハム 他

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ターミナル・ベロシティ

8月1日分。
スカイアクションムービー。
チャーリー・シーンはスカイダイビングのインストラクター。
そこにやってきたのが美女のナスターシャ・キンスキー。
訓練中にナスターシャはパラシュートが開かず
地面に激突して死んでしまう。
殺人容疑をかけられるチャーリー。
ナスターシャのアパートメントを訪れ
疑惑解明のカギを探すチャーリー。
そこにはダイビング姿でほほ笑むナスターシャの写真が。
ナスターシャが未経験でないことに疑問を覚えたチャーリー。
暴漢に襲われ、何とか戻ったチャーリーは
訓練中のビデオテープを見ていて
上空にもう1台のセスナを発見する。
そのセスナを見つけ追いかけ、
ナスターシャが生きていることを発見する。
実はナスターシャはCIAの工作員である事件を追っていた。
二人で事件を追求することになり
ある工場に潜入し、映像の入ったDVDを発見し
また敵の攻撃を受ける。
実はCIAではなく、元KGBで
ロシア・マフィアの金塊を追っているという。
敵はそのロシア・マフィア。
そして金塊はさびれた空港の飛行機の中にあった。
仲良くなったり、疑ったりの二人。
ナスターシャは一人で敵に向かうが拉致され
車のトランクに詰められ、その車ごと飛行機へ。
その飛行機に飛び乗ったチャーリーは
大空から車もろとも落下しながら
敵をやっつけ、トランクを開けて
ナスターシャを助けて、
間一髪パラシュートを開いて助かる。
敵のボスは助かり、地上でまたまた戦いを挑むが
チャーリーが勝利して
最後はロシアでメダルをもらっておしまい。
あらすじ書いてて疲れました。
何より空でのアクションが見どころ。
クライマックスの車ごと落下しながらの
シーンは確かに手に汗握った。
しかし、そこへいくまでの地上の戦いが
どうかな?って感じ。
ナスターシャがスパイってどうもはまってないし
チャーリーもちょっと太っちゃったね。
またストーリーのご都合主義がちょっと目につく。
もう少し本を練って、上空でのシーンを中心に
もっとスカイアクションに特化したら
もっとすばらしい作品になったと思う。
主演二人ががんばっただろうに
イマイチな部分が目につく。

ターミナル・ベロシティ [DVD]ターミナル・ベロシティ [DVD]
(2004/04/23)
チャーリー・シーン、ナスターシャ・キンスキー 他

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古道具 中野商店

7月31日分。
東京近郊。
古道具屋さんを舞台にした
小さな物語。
バイトのヒトミちゃん。
店主の中野さん。
中野さんのお姉さんのマサヨさん。
同じくアルバイトのタケオ。
そして、一風変わったお客さんたち。
これら人間が織りなすドラマが繰り広げられる。
何より古道具屋の仕事に興味を惹かれる。
「古いもんこそ、清潔に。でも清潔すぎちゃダメ」
電話は「三回以上呼び出し音聞いてから出なさい」
などというコメントの数々。
新製品のサイクルに取り込まれた日常と
まったく違う感覚に興味を覚える。
そして、中野さんという店主の
楽天的で、いいかげんで、
そのくせモテる変なキャラクターに惹かれ
ヒトミちゃんとタケオの恋愛のようなそうでないような
進み具合にもやきもきする。
古道具屋に持ち込まれる商品を題材にしながら
小さなエピソードが重ねられ
そして、それぞれの人間模様が動いていく。
ラスト近くでは、お店は模様替えのために
一時閉店となり、ヒトミちゃんとタケオは
それぞれに店を後にする。
読む楽しみのあるふうわりとした始まりから
おもろうて、やがて哀しく
ちょっとじんわりくる物語だ。
自分と違う時の流れを体感できる
おもしろさがある。
これも青春。

古道具 中野商店 (新潮文庫)古道具 中野商店 (新潮文庫)
(2008/02)
川上 弘美

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[ 2010/12/06 12:01 ] | TB(0) | CM(0)

わが街

7月30日分。
群衆劇ムービー。
舞台は荒れるロスアンジェルス。
弁護士のケヴィン・クラインは老いの悩みを抱える。
ある日黒人地区で車が故障し
黒人少年たちにからませるが
ちょうど到着したレッカーの
黒人のダニー・グローヴァーに助けられる。
ケヴィンの妻アリー・マクドネルは
ジョギングの最中に赤ん坊を拾い
自宅で面倒をみる。
ケヴィンに言われて警察に赤ん坊を届けたアリーだったが
その子を引き取ることを強く望むようになる。
ケヴィンはダニーにお礼を言いに行き
グランド・キャニオンを見ることをすすめられる。
ケヴィンはダニーに何かお礼をしたくて
秘書の女友だちを紹介したり
息子が不良とつきあっているダニーの妹に
安全な地域のアパートを紹介したりする。
そして、ラスト。
ケヴィンとダニーの家族が連れだって
グランドキャニオンを観るところで終わる。
街の荒廃、老い、そして、新たな自分探し。
こうしたテーマが声高でなく
静かに語られる群衆ドラマだ。
こうした映画は基本性善説に立っているので
ヒューマニズムを良しとする人には共感され
性悪説の人にはそんなはずないじゃんと甘さを指摘される。
僕は個人的には西原理恵子の人間の捉え方に共感する。
「人間の性格はきれいな球。嫌なところがないと
 いいところは出てこない」
そういった意味ではこの映画は
ちょっといいところばかり出てきて
嫌なところが少ないので
本当かよって思っちゃう。
もっとドロドロとした部分がないと
いいところが納得できない。
それにおもしろくないとね。
映画だからね。
そういう意味では
少し退屈な映画。

わが街 [DVD]わが街 [DVD]
(2004/08/02)
ケビン・クライン、ダニー・グローバー 他

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ダイ・ハード4.0

7月29日分。
ダイハードは見てハズレがない
アクションムービーだ。
予想外のアクション展開で
ブルース・ウィルスが難局を逃れていくのがいい。
今回の相手はサイバーテロ組織。
警官のブルースは娘のメアリー・エリザベス・ウィンステッドハッカーに
会うが冷たくされている。
そこへハッカーのジェスティン・ロングを
FBI本部ハッカー犯罪部まで連れてくるよう命令される。
ジェスティンの部屋を訪ねるとテロ組織が迫っていた。
銃撃、爆破を例によって素晴らしい機転で逃れて
ジェスティンをFBIにまで連れて行く。
敵の行動はファイヤーセール。
国のインフラに対する組織的なサイバー攻撃を意味するハッカーのスラング。
第1ステージは交通、第2ステージは通信、第3ステージはガスや電気と段階。
それにジェスティンが気づく。
途中で凄いなと思うシーンは
車を中に飛ばせてヘリにぶつけるシーン。
それはありえないだろ!というシーンが目白押しで
ブルースは絶対死なないし
次第にそういうもんだと思えてくる。
ようやく到着したFBIのハッカー本部は
サイバーテロを阻止できずパニック状態。
そこで、ブルースは次の攻撃を阻止しようと動き始める。
カンフー娘の攻撃とかいろいろあって
敵のテロを阻止していくんだけど
途中で戦闘機が出てきて
ブルースの車を攻撃してきて
その戦闘機の羽根に乗っちゃうところが
またまたホントかよって感じ。
誘拐された娘のメアリーも助け出し
見事に敵の大将をホントかよ攻撃でしとめる。
はげおやじのブルースとコンピュータオタクのジェスティンの
取り合わせは新鮮でおもしろい。
ジェスティンがブルースとともに行くことを決意するシーンは
ちょっと泣けちゃいます。
バディものとしても良くできてます。
とにかくアクションがこれでもかと目白押しなので
全部覚えていない。
また観て楽しみたいと思える1本です。

ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組) [DVD]ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組) [DVD]
(2007/11/07)
ブルース・ウィリス

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カンガルー・ジャック

7月28日分。
コミカルアクションアドベンチャーVFXムービー。
とにかくテンポとギャグ。
のっけからハイテンションで飛ばして
一気に物語にのめり込ませる。
さすがは『パイレーツ・オブ・カリビアン』の
プロデューサーであるジェリー・ブラッカイマー作品。
物語はギャングの義理の息子ジェリー・オーコネルと
子どものころに彼を助けた恩を売り続ける
太っちょ黒人アンソニー・アンダーソンが
失敗をやらかし、オーストラリアへ
大人のお使いに出されるストーリー。
持って行け! 見てはいけない!
と言われた封筒の中身は
何と大金。
しかも、その金は二人を始末する代金だった。
待ち合わせ場所に向かう途中で
カンガルーをはねてひいてしまう。
死んだと思われたカンガルーに
ブルゾンを着せて写真を撮っていたら
実は生きていて、そのままピョウンピョンと逃げだしてしまう。
大笑いしていたのもつかの間、
そのブルゾンのポケットには
届けるはずの封筒が……。
ここから必死のカンガルーの追跡劇が始まる。
のんべの飛行機乗りや
ヒロインとなる野生動物保護団体のエステラ・ウォーレンと出会い
さらに待ちぼうけを食らわせられた暗殺者、
ボスの片腕も現地入りして
カンガルー
ジェリー&アンソニー&エステラ組
暗殺者
ボスの片腕組と
4グループが入り乱れて
追跡と逃走が続けられる辺りから
物語はピークを迎える。
ラストはカンガルーを捕まえて
封筒を取り戻すこともでき
他の2組の悪人グループは逮捕され
さらにさらにある製品の開発で
ジェリー&アンソニー&エステラは
大金持ちとなるハッピーエンド。
ノンストップアクションで
一気に駆け抜ける
気持ちいい作品だ。
カンガルーのVFXは
ちょっと小生意気で
往年のアメリカアニメムービーの
逃走キャラみたいで
いけてる!!!

カンガルー・ジャック [DVD]カンガルー・ジャック [DVD]
(2004/04/23)
ジェリー・オーコネル、アンソニー・アンダーソン 他

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ゴー!ゴー!アメリカ~我ら放浪族~

7月27日分。
アルバート・ブルックス監督・主演のロードムービー。
広告会社の幹部候補のアルバートは
人事を巡ってトップと喧嘩し
会社を辞めてしまう。
ジュリー・ハガティ演じる妻も管理職で働いている。
アルバートはジュリーを誘い
妻も会社を辞めて全財産を処分し
トレーラーを買い、アメリカ全土を放浪する旅に出る。
元エリートの二人は手持ちのお金もたっぷり。
悠々自適でアメリカ放浪の旅だったはずが……。
最初に泊まったラズべガスで
妻が夜一人でギャンブルにはまり
全財産をすってしまう。
元広告マンの弁舌を生かして
何とかお金を取り返そうと
支配人に掛け合うシーンが面白い。
お金を返せばそれをキャンペーンとして
展開できるから、ホテルにもっと人が来ると説得する。
ちょっとそうなるのかなと思ったが
世の中はそう甘くなくそのまま放りだされる。
トレーラーでフーバーダムへ向かうも
夫婦喧嘩となり
妻は通りすがりのスポーツカーに乗って去ってしまう。
アルバートはトレーラーで後を追い
ダイナーで食事する二人に追いつき
ボコられながらも何とか妻を奪還する。
そして、二人はある田舎町へ。
そこでともに仕事を探して働くが
安い時給の仕事。
この悲哀は身につまされる。
そして二人は元の仕事に戻ることを決断し
アルバートは復職してエンディング。
アメリカ放浪の旅が続くのかと思いきや
出だしでいきなりつまずくのが予想外の展開。
イージーライダーに憧れて
衝動的に旅に出るあたり
何となく共感できる部分もあって
男のロマンとその現実って感じで
とっても悲哀と笑いが入りまじった
コメディの佳作でした。

ゴー!ゴー!アメリカ~我ら放浪族~ [VHS]ゴー!ゴー!アメリカ~我ら放浪族~ [VHS]
(1992/06/12)
アルバート・ブルックス

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プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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