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ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2011年12月

バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉

どこまで裸をさらけ出せるか。

◎小説と全裸
小説を書くとはどういうことか。
小説家になるとはどういうことか。
リアルな生態がそこにある。
主人公はライトノベルという現代的なジャンルのルーキー。
京都に住む男子大学生。
しかも、同じ大学に売れっ子女性小説家がいるという展開。
しかし、小説を書くことは裸で走ること。
自らをさらけ出す覚悟のいる商売。
そこんところが赤裸々に出ている。
恰好も考えず、一日中部屋にこもって
パソコンに向かい合う。
それは自分と向かい合うということ。
先輩作家の女子大生も同じ。
そして、二人は同業のよしみからか良く一緒に食事をする。
話をする。
そして。

◎同業者というラブストーリー
しかし、二人は恋愛には発展しない。
女子大生は主人公の師匠というポジション。
しかも、同業者であり、ライバルでもあり、
お互いに裸を知っている。心のね。
だから、何度も何度も
美人だけど、恋愛対象にならないという言葉が出てくる。
この付かず離れずというくすぐったさ。
見よ日本流。

◎連作という禁じ手
あとがきにネタばらしが。
この小説はライトノベル作家の連作。
つまりはお互いの業界裏話的な内容もありつつ
微妙にずれる展開や心理はそのなせる技。
そこがまた愛のような、愛でないような
二人の関係を豊かにしている。
愛はパラレル、とも言えるし、
思いは多重人格とも。
恋愛物語として読んだが
メインストリームである若い小説家の
自分の気持ちと立ち向かう日々が
何とも愛おしい。


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[ 2011/12/20 06:38 ] | TB(0) | CM(1)

悪人

アイはどこにありますか?

◎行き場のない閉塞感
舞台は九州。冒頭から登場人物たちの日常がリアルに描かれていく。
被害者となる女はいかにも今だ。上滑りしながら、生きている。
主人公の男は寡黙だ。祖母と祖父との夜ご飯を囲む。
ヒロインとなる女は国道沿いの安売り紳士服店に勤め、
大雨の中を傘をさして自転車で帰り、一人で残りもののケーキを食べる。
それぞれに行き場のない閉塞感が次第に露わになってくる。
それは現代が、希望や愛を約束しない、できない時代であるからだ。
物語を提示できない時代だからだ。
その中で主人公の金髪とスカイラインGT-Rが突出して
違和感を醸す。苛立ちを表わす。
そして、3人の接点は出会い系……。

◎頭の中の羽音
冒頭、わずかしか描かれないが、主人公の男の頭の中の羽音がブーンと響く。
映画全体を通底する主人公の違和感が瞬間表現される。
しかし、主人公は日常に抑え込まれていく。
その中で金髪だけが苛立ちを表わし、鬼神のように逆立っていく。
時代に、いいや、自分に。

◎切なさからしたたかさへ
被害者となる女はどうして殺されたのか。
映像は次第に事件の真相を明らかにしていく。
そこにない愛を求めながら、食い違う思いが現れる。
そして、後半は主人公の殺人犯である男と
ヒロインである女の逃避行へとフォーカスしていく。
行き止まりの灯台。二人の愛、父の愛、祖母の愛。
それぞれに追い詰められていく人々。
しかし。映画はラスト付近で立ち止まる。
物語が立ち上がり始める。
それぞれが今いる場所から必死の思いで生き始める。
追いつめられる愛。そして、身近にある者に気づく瞬間。
時代は大きな物語はもう生まない。
しかし、隣にいる者の温もりをかすかな希望としていく。
アイはどこにあるか?
映画は問いかける。
アイはどこにあるか?
金髪とGT-Rは心を収めるだろうか?


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プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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