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本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2012年03月

平成大家族

大家族はしんどい。けど、おもしろい。

平成の大家族って、
こうやってできるんだよなっていう家族構成。
引退した老夫婦と妻の母に
引きこもりの長男、
自己破産して転がりこんできた長女夫婦と息子、
さらに離婚して帰ってきた次女に妊娠発覚。
かくして8人の大家族は、
敷地内の2軒家と物置に問題を抱えながら
同居することになる。

各章ごとにひとりひとりが抱える問題が重くならず、
軽やかな語り口で語られる。
このリズム感のあるやわらかな調子は
落語の人情物を聞いているようだ。
作者の魅力である。

そして後半いくつかの問題が
家族の関わり合いのなかで
良い方向へ向いていく。
なかでもひきこもりの長男と
ある女性の恋物語は
心がほんわりとしてきた。

ゆるい紐帯としての
平成の大家族像が見えてくる。

平成大家族平成大家族
(2008/02/05)
中島 京子

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[ 2012/03/29 10:41 ] | TB(0) | CM(0)

悪の読書術

本にも階級がある。

この本は、本に階級があるというところからスタートする。
スノッブな意味で読んでいてカッコいい本、
持っていてカッコいい本の紹介本だ。
一億総民主化というか、
みんながワンピースを絶賛する異様な状況下で
ノーブルでエスプリの効いた
上流の作家の本を学ぶことは意味があると感じる。
ここに登場する作家は、
須賀敦子を筆頭に白洲正子、塩野七生と続く。
この辺から始めたいものだ。
上流とは何か?教養とは何か?
について改めて考えさせられる。
自己啓発の意欲をかきたてられる一冊だ。

悪の読書術 (講談社現代新書)悪の読書術 (講談社現代新書)
(2003/10/20)
福田 和也

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[ 2012/03/22 10:57 ] | TB(0) | CM(0)

企画書は1行

このタイトルは秀逸だ。

特に僕のように縮み志向の人間には効く。
さらに「はじめに」の小山薫堂氏が書いた
「君はキルケゴールも読んだことがないのか?」もキャッチーだ。

しかし、ここまでなんだよね。
次からは「企画書は1行」をすくいとれていない。
トヨタの「すべては現場にある」。
キリンビールの「彼女の部屋で遅めのランチ。パスタを食べながらグビグビ」。
など本章に入ってからはテンションが下がる。
どれも1行のキレが来ていない。
「企画書は1行」というタイトルが
広告的にキャッチーなのに
中身は情緒的、散文的。
取材先とタイトルが合っていない。
「企画書は1行」の難しさを露呈してしまった1冊だ。
「ひとことで貫く」ことは逆に底の浅さを露呈する。

企画書は1行 (光文社新書)企画書は1行 (光文社新書)
(2006/06/16)
野地 秩嘉

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[ 2012/03/20 06:29 ] | TB(0) | CM(0)

草にすわる

人はいくつになっても目覚める。

白石一文の初期作品集である。
3篇の短編小説がまとめられている。
なかでも表題作である『草にすわる』が印象深い。
一種の心中物であるが、二人の悲恋ではない。
生きるのに飽いた二人が睡眠薬自殺を図る。
ここからネタバレになるが、二人は助かる。
ラストの数ページに作者の思いが
あふれる。
表題は八木重吉の詩からとられている。
「わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる」
ラストの助かった経緯のどんでん返しは、
生きる意味を読む人につきつけてくる。
ほかに老齢の純文学作家の覚醒、
経済記者のスクープストーリーと
多彩な味わいをもつ短編集だ。

草にすわる (光文社文庫)草にすわる (光文社文庫)
(2006/06/13)
白石 一文

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[ 2012/03/18 08:27 ] | TB(0) | CM(0)

すべて真夜中の恋人たち

真夜中の光を感じよ。

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
 それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思いだしている。」

 冒頭、こう始まるこの小説は、夜の光について語ることから始まる。

これは真夜中の光について書かれた物語である。
真夜中とはわたしたちのありようであり、こころの状態であり、
光はそんな真夜中に立つわたしたちが生きていくよすがのようなものである。
光はいつかは物質に吸収されてしまう。その意味をかみしめたい。

主人公はコミュニケーションが苦手な
フリーランスの校正家の女性だ。
人と会うときにビールや日本酒を
飲むようになる。
エキセントリックでシャイなヒロインに出会ってほしい。
それはあなたなのだ。

すべて真夜中の恋人たちすべて真夜中の恋人たち
(2011/10/13)
川上 未映子

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[ 2012/03/13 21:45 ] | TB(0) | CM(0)
プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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