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本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2013年01月

細野真宏の世界一わかりやすい株の本 実践編

名探偵コナンの謎解きを見るような
問題と明快な答えの提示。


〇予備校講師の筆舌は冴えわたる。

予備校講師が書いた
株式投資入門パート2。
前作にも増して
明快でなめらかな語り口だ。

スタイルは同じ。
株に関する問題を提示して
考えさせて
その後に模範解答を示す。
その快刀乱麻の切れ味と
論理的で明快な
そのくせ難しくない正答の導き方は
なぜか上質な探偵小説を読むようで
すごくわかった気にさせる。
しかし、自分が一人でその明快さを
もてるかというとそこは疑問が生じる。
明答にたどり着く苦労がやはり必要なのだ。


〇最初は証券会社の選び方から。

恐らく前作で質問が多かったと思われる
証券会社の選び方から入るのが
実践編っぽい。
株式会社は銀行と違って
顧客から預かったお金は
信用協会で保証されているから
証券会社の信用や破綻にそれほど
こだわる必要はないというのは納得。


〇メインテーマは「増資」と「株式分割」。

この本で多くのページを割いて
語られているのが「増資」と「株式分割」で
株価がどう動くか。
チャートへのこだわりや日常的な動きではなく
イレギュラーなことだが
だから逆に論理を積み重ねれば
正解に行き着く。
本質的には、
株が欲しい人が多ければ株価は上がる。
少なければ下がる。
ということだけで正解を導き出す。
このシンプルさが明快さを生んでいる。


〇株式投資へ興味をつなぐ一冊。

前作、この実践編どちらもが
本当に株式について知らない人が
一からその仕組みを学ぶためにいい本だと思う。
もちろんこれだけで勝てるほど株は甘くない。
とは重々理解しているつもりだ。

この本を読んだ後、
レギュラーなケイ線・チャートの読み方や
テクニカル指標の読み方へ進むべきだろう。


細野真宏の世界一わかりやすい株の本 実践編細野真宏の世界一わかりやすい株の本 実践編
(2005/12/14)
細野 真宏

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[ 2013/01/31 11:07 ] | TB(0) | CM(0)

細野真宏の世界一わかりやすい株の本

予備校講師が書いた
株式投資の教育ソフト。


〇A4判という大きさと薄さ。

細野真宏はカリスマ予備校講師である。
彼がなぜ株式投資の本を書いたのか。
今、日本で金融・経済教育が
ほとんど行われていないからである。

この本はまず体裁がいい。
A4判という大きさに薄さ。
見やすく、どんどんページが進み
勉強しやすいサイズなのである。

さらに中身はさすがに予備校講師
噛んで含めるような内容はわかりやすい。

しかし、わかりやすさだけではない。
本質を突いた内容が盛り込まれている。


〇間接金融の問題。

細野氏が冒頭で指摘するのは
銀行にお金を預ける「間接金融」の問題点である。
株式などで会社に投資するのが「直接金融」なのだが
日本人は銀行にお金を預ける「間接金融」への性向が強い。
つまり、銀行にお金の貸し先を委ねている。
バブル時に銀行が不良債権問題でやり玉に挙げられたが
銀行に貸し先を委ねていた我々も批判されるべき要素があるという。
まさしく、正論。
だからこそ、金融・経済を勉強して
株式投資にも目を向けなければならない。


〇5~10年分のチャートを見よ。

基本中の基本なのだが
ある株式に注目したら
まず長い流れの中で
今どこにいるのかを知るために
5~10年分のチャートを見る。
まず全体を俯瞰することは大切だ。


〇利回りを計算せよ。

これも基本だと思うが
配当/株価×100=利回り
を計算せよ。
今の株価が平均と比べてどうなのか
数字できちんと判断することは基本だ。


〇情報判断力を磨け。

これがこの本のポイントだ。
まず個人投資家は投資のプロに比べて
情報入手能力が遅い。
だから、情報の早さにこだわるな、という。
ではどうやって個人投資家は投資するべきなのか。
細野氏は生活者としての目を生かせと説く。
自分や身の回りの人が使っている「ヒット商品」や
よく見るチャンネル、よく行く映画館から
中・長期投資のネタを見つけよという。

その際、情報判断力が重要だという。
西武鉄道がグループ保有株、虚偽記載があったとき
細野氏は直接西武鉄道に電話をかけて、
上場廃止になるかどうかを尋ねたという。
企業はIR対策のため、一般投資家にきめ細かく答えてくれる。
上場廃止の条件を理解し、西武鉄道の声を聞き
そうした情報を論理的に判断して
上場廃止を判断したという。

こうした情報収集と判断を
個人で的確に行うこと、
その結果を実際と照らし合わせていくことが
情報判断力を鍛えていくことになると思う。

次なる実践編に期待したい。


細野真宏の世界一わかりやすい株の本細野真宏の世界一わかりやすい株の本
(2005/06/10)
細野 真宏

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[ 2013/01/28 15:13 ] | TB(0) | CM(0)

歴史を考えるヒント

ことばの意味を掘り起こすと
本当の日本史が見えてきた。



○日本という国名はいつ決まったか?

時の権力が綴った歴史ではなく
庶民たちが育んできた
日本の歴史を探る網野史学。

ことばにフォーカスして
日本史を掘り起こしたのが
この一冊です。

最初は日本という国名の由来から。

多くの学者が認めるところでは
浄御原令(きよみはらりょう)という
法令が施行された六八九年だと言います。

つまり、それ以前は
日本国は存在しなかったのです。

この日本という国名は
当時のヤマトの支配層が、
中国大陸の隋・唐の律令を受け入れて
本格的な国を造り上げることに全力を注ぎ
中国大陸の帝国を意識して定めた国名であると
網野は説きます。

旧石器時代には日本人はいなかったのです。
そうなのですね。

日本国の前は
「倭の国」だったのですから。


○島国でない日本。

このことからも明らかなように
日本は大陸との関係で発展してきた国です。

世界地図をひっくり返して見てごらんなさいと
網野は言います。

すると、日本海はほとんど湖同然の内海です。

対馬と朝鮮半島の間は非常に狭く
サハリンと大陸の間も凍結したら歩いて渡れる狭さだと
指摘します。

これを断ち切って、現在の領土の範囲で
「島国」であると意識したのは
日本の近代国家なのです。

つまり、長い歴史の中で
大陸とのつながりが密な国であった日本は
明治政府によって
「島国」であると意識を変えられ
現代の我々も
「島国」の認識が強くなっているのです。


○百姓は農民ではない?!

これは網野の有名な言質ですが
百姓は百の姓であり
以前は「普通の人」を
表わす言葉だったそうです。
中世ではそれは明らかだと言います。
農業以外の多彩な職業が
生き生きとしていた時代です。
その後、次第に百姓は
農民を指す言葉として
誤解するようになるのは
江戸時代なのです。

さらに明治時代になると
「農本主義」の思想から
百姓は農民と捉えてしまうのです。

七世紀末に誕生した「日本国」は
「農本主義」を基調にしていました。
この伝統が途中「重商主義」の時代がありながら
「農本主義」が強くなり
その結果、「百姓」=「農民」となったのだそうです。

日本という国は
元来、島国でもなく
農業以外の多彩な職業も豊かだった
国だったのですね。


○弥生文化と縄文文化。

印象的だったのが
おおよそ列島東部は縄文文化
西部が弥生文化という時代が
二百年ほど続いたという話です。

つまりは関東と関西に
それぞれ縄文文化と弥生文化の根っこがあり
いろいろな文化的な違いを
そこに求めることもできると考えられます。


○聖なる金融から、俗なる金融へ。

「金融」ということばは明治以降ですが
物を貸して利息をとる行為としての金融は
古代の「出挙」(すいこ)まで遡ります。
これは神との聖なる金融であり
これが世俗的な金融になったのは
室町時代以降なのです。


○明治時代の翻訳語の問題。

ことばの問題で大きいのは
明治時代の翻訳語だと
網野は指摘します。
西洋文化を受け入れ
西洋化を果たそうとする日本。
そこには明治の先人たちが
ヨーロッパの書物を翻訳し
その概念を日本に持ち込もうとする
動きがありました。
そこで翻訳語が数々誕生し
それ以前の日本が培ってきた
ことばの概念が
断ち切れてしまった部分もあるのです。
だから、古来より続く日本のことばや
そこに込められた思想が
今に続いていない部分もあるのです。

日本史とはそうした古の思想や
人々の暮らしに分け入り
日本人とは何かを探す旅に他なりません。


歴史を考えるヒント (新潮文庫)歴史を考えるヒント (新潮文庫)
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網野 善彦

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[ 2013/01/25 14:51 ] | TB(0) | CM(0)

機龍警察

新しい警察小説の誕生に出会え!

○日常に突出する非日常。

パトカーがロボット型装備に身を固めた
凶悪犯と出会う。
その凶悪犯たちは地下鉄構内に立てこもる。
そんなシーンから、新しい警察小説は始まる。

冒頭のイメージから甲殻機動隊に近い
ロボット系アクションノベルを
イメージして読み進むと、
物語では警察内部の確執が描かれる。

硬直化する組織、対立するセクター。
日本のあちこちで見られる動脈硬化がそこにある。
この物語はリアルな日本の組織論なのだ。そして。

風穴を空けるのは
近接型戦闘装備による凶悪犯罪に対して
設立された特捜部。
そこに所属する3人の傭兵。
そして、機甲兵装。二足歩行有人兵器だ。


〇警察内部の組織小説を超えて。

日本の、そして世界の警察小説の
ひとつのテーマが警察の組織の問題だ。
組織に対する個人の葛藤は
警察小説を超えて、現代的テーマだ。

しかし、リアルは閉塞へと向かう。
そこにどう風穴を空けるのか。
その解答がこの『機龍警察』シリーズだ!
言いすぎだろうか。
SFの想像力が警察小説に新たな地平を切り開く。
そんな可能性を感じる。


○世界レベルの冒険小説の萌芽。

3人の傭兵、そして外務省から来た部長。
こうした国際舞台に広がる人物を配置したことで
この物語シリーズは国際性を嫌でも帯びていく。
世界を舞台にした物語を内包している。
日本人傭兵、ロシアの元刑事、
アイルランドの女性テロリストを配したことで
それぞれの抱える問題から
新たな冒険小説が立ち上る匂いがする。

作者が愛するヒギンズの『鷲は舞い降りた』
マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』
の2大小説に迫る
世界レベルの冒険小説への意欲を感じる。

警察を舞台としたポリティカル小説
機甲兵装を核とするアクション小説
傭兵と元外務省官僚から由来する国際冒険小説。
3つの要素を内包して
新しい警察小説は起動した。


機龍警察(ハヤカワ文庫JA)機龍警察(ハヤカワ文庫JA)
(2010/03/19)
月村 了衛

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[ 2013/01/22 11:08 ] | TB(0) | CM(0)

ハーモニー

究極の平和な世界とは何か。


〇絶対的平和=ハーモニーとは

伊藤計劃氏のオリジナル長編第2作。
伊藤計劃は何を考えていたのか。
そこを知りたくて書を読む。
虐殺器官の衝撃から続く
第2作は究極の平和を追求した。

天才(とあえて言うが)SF作家であり
若くして逝った彼を思うと
心が痛くなる。
彼の病室での思索の結晶が
この本である。

物語は人々が体内にWatchMeを入れて
健康であり続ける近未来が舞台。

伊藤は主人公に3人のヒロインを置いた。
カリスマの輝きをもつミァハ。
語り手の私トァン。
3人のバランスを取っていたキアン。

子どものころに健康的な社会に反抗し
自殺を図り、失敗。
大人になり再び出会うところから
物語は動き出す。


〇社会と個の対立。

ここで描かれているのは
古典的テーマでもある
社会と個の対立だ。

人々を包み込み、健康を見守る社会。
健康であることを求める社会。
どこか日本の今が投影されている近未来。

伊藤は現代の技術から未来を俯瞰して思考した。

包み込む社会によって
孤独は喪失されるものか、否か。

印象的なフレーズがある。

ミァハが語る。
「持久力という点では本がいちばん頑丈よ」
「孤独の持久力」

財布と貯金箱の比喩も意味深い。
「財布が使いこなせれば、貯金箱はいらないはずなのにね」

欲望と意志。

意志は、実はつぎはぎのものだ。
短期的欲求と長期的欲求が葛藤して
生まれているのが、意志なのだ。

こうした思索をヒロインたちは重ねる。
それは病床での伊藤の思索と思えてくる。

そして、強権的優しさの社会が包み込もうとしていく。

生物としての人間にかろうじて宿った意志。
その意志が物語の後半で大きくクローズアップされていく。
意志をもつことが幸せなのか。
意志があるから不幸ではないのか。

物語は、強権的な優しさをもつ世界に
刃を突き付けたミァハに
螺旋監察官となったわたし=トァンが挑む形となっていく。


〇少女の物語。

今なぜ少女の物語なのか。
それはアニメにも散見する。
現代という鋭利な刃物に
研ぎ澄まされた少女こそが、
ある種の抑圧の中でヒロイン性を体現するからか。


〇一人称と三人称の対立。

そして。
伊藤は一人称へこだわる。
この物語も一人称で展開する。
実は、このことがこの物語の大きな仕掛けを生んだ。
それは読んでのお楽しみということになる。


一見静かな思索の物語。
平和な世界に突如事件は起こり
世界を巻き込んでいく。
その中心にかつての少女たちがいる。
これ以上にドラマチックな
“意志”についての物語はないだろう。


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
(2010/12/08)
伊藤 計劃

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[ 2013/01/16 10:12 ] | TB(0) | CM(0)

運命のボタン

ボタンは何を意味するのか。

〇ミステリーの始まり。

ある夫婦のもとに
ボタンが届けられる。
そのボタンを押すと大金が手に入る。
しかし、誰か知らない人が死ぬ。
ミステリーの始まり。
このボタンは何なのか?
誰が何の目的で行っているのか?
深まる謎へ興味がかき立てられる。

ところが……。


〇突然のSF。

あるところから映画は
SFに移行する。
謎は宇宙に拡散していく。
ちょっと肩すかしの感じ。
なぜミステリーからSFへ?
今度はここにこんぐらがる。


〇運命論なのか。

最後はボタンの押した夫婦に
ある運命が下る。
後半は運命から逃れる戦いだったのに
結局運命論なのか。

そして。

最後までボタンは何を意味するのか。
その疑問は残されたまま。


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キャメロン・ディアス、フランク・ランジェラ 他

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ブラジルから来た少年

現代に突き刺さる歴史ミステリー。

〇ヒットラーの残滓と追跡者の物語。

冒頭、青年が紳士たちを
尾行するシーンが続く。
静かなノンフィクションのような出だし。
次第に明らかになる紳士たちの正体。
そして、青年の目的。
これはナチスの復活を願うヒットラーの残党と
ナチスの追跡者の物語だ。
紳士たちはある計画を行おうとするナチ。
青年は追跡者。
そして、青年は殺される。
ここから物語が動き出す。


〇真実かと見まがうリアルさに舌を巻く。

死んだ青年が連絡を取っていた老紳士が
ナチスの残党確保に命をかける追跡者の代表格。

そして、ナチスの残党は
ある恐ろしい計画を実行に移していく。
そのために世界の名もない人々を殺していく。
果たしてその目的とは?
まるで実際の歴史秘話のようなリアルさに舌を巻く。
物語は進んでいき、老紳士とナチの残党で
計画の首謀者とのアクションシーンが圧巻だ。


〇タイトルの意味を知る。

ラスト。
ようやくタイトルの意味を知る。
背筋が凍りつく。

途中追跡者の老紳士が被害者の家を訪ねたとき
映し鏡の映像がその意味を表わしていた。
そのことに気づくと、怖さが増す。

このお話はフィクションなのだが
本当のエピソードのように感じられる。
ミステリー映画として透一級だ。

歴史に題を取り、
今も現代に突き刺さる名作だ。


ブラジルから来た少年 [DVD]ブラジルから来た少年 [DVD]
(2004/01/23)
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プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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