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本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2014年01月

切羽へ

喪失することが人生。

北の島。
養護教諭のセイは画家の夫をもつ。
新任教諭の石和にお互いに魅かれていく。
その先が切羽。トンネルを掘っていく一番先。
切羽へ。切羽へ。
そして、その切羽で石和は去る。
セイは夫の子を身ごもっていた。

欲しくて欲しくてたまらないけれど。
手には入らない。手には入れない。
そして喪っていく。
喪失こそが人生。
島という舞台が
その喪失感を象徴する。

この一節が印象的だ。

「彼らはすでに、石和を忘れる準備をはじめているようだった。
 それは島の子供たち、あるいは島の人間が、
 身のうちにこっそりと培っている方法なのかもしれない」


切羽へ (新潮文庫)切羽へ (新潮文庫)
(2010/10/28)
井上 荒野

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[ 2014/01/22 15:14 ] | TB(0) | CM(0)

楽園のカンヴァス

ルソーの絵が見たくなった。

アンリ・ルソー。
彼の代表作である『夢』をモチーフにしたミステリーだ。
読み進めながら、ルソーの絵がとても見たくなった。
この小説の一番の美点だ。
女性と男性2人のルソー研究家が大富豪に招かれ
そこにあるルソーの作とされる絵画の真偽を競う。
しかも、その絵は『夢』と対になると思われる幻の絵画『夢をみた』。
判断する基準は1冊の古書を読むこと。
そこに描かれているのは、ルソーやピカソたちの生き生きとした姿。
生身のルソーがそこにいて、読み進むうちに
その思いや恋に次第に引き込まれていく。

こうした絶妙な配置を舞台に
競い合う探偵役は、MoMAのキュレーター、ティム・ブラウンと
美貌と才能を併せ持つ新進気鋭のキュレーター早川織絵。

さまざまな謎に胸躍らせながら、読む。
ラスト付近。それまでイマイチな感じのティムが活躍するのには
ちょっと拍子抜けだったが……。

読み終えて。
ネットでアンリ・ルソーの絵画本を探してしまった。


楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

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[ 2014/01/09 01:17 ] | TB(0) | CM(0)

タモリ論

タモリはつかみどころがない。
なぜなら神だからだ。


作家が書いたタモリ論。
この本は、たけしやさんまについても書かれていて。
たけしは偉大なる盗人。
さんまは真の絶望大王。
具体的な事例を挙げて、その意味を語っているのだけれど。

タモリ論と題した本で
肝心のタモリについてはどうも滑っていく。
絶望大王だって言うのだけれど、そこから論が展開していかない。
それで終わってる。
いいとものエピソードはおもしろいし
他の人のタモリ評の引用も気が利いているけれど。
読み終えて、タモリって何だろうって
スルッと手から滑り落ちていく。

なぜだろうって考えた。
それは筆者の問題ではない。
それがタモリなのだろう。
つかみどころがないイグアナのようなお笑い人。
キャッチフレーズに収まらないヌメヌメした感じ。
黒いサングラスで隠し続けるスタイルこそが
タモリのタモリらしさ。
それでいながら、昼の神であり続ける。

筆者がこうも書いている。
タモリは、底が見えない底なし沼である。
何も言っていないけれど、わかる。
この言葉が一番腑に落ちた。

タモリ論 (新潮新書)タモリ論 (新潮新書)
(2013/07/13)
樋口 毅宏

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[ 2014/01/05 04:14 ] | TB(0) | CM(0)
プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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