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本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2015年07月

WOWOW舞台『今ひとたびの修羅』

情が流れる
哀切の物語。


渡世人の堤真一と
その妻である宮沢りえ。

大学生の小出恵介と
恋人の小池栄子。

二組の恋人たちが
出会い、離れ、また出会う生き様を
昭和初期を舞台に描いた舞台。

人と人の情が紡がれ
戦争へと向かう時代の風の中
運命に舞う人々の姿が哀しい。

渡世人の先輩である風間杜夫が
二組をつなぐ後見人でいい味を出している。

トリックスターとして浅野和之が軽妙だ。

流れるようにつながる回り舞台が
巡りゆく男女を表現し
哀切あふれる音楽が心にしみていく。

豪華キャストだが
役者にはもう一つの輝きを見たかった。

主役は昭和初期という時代なのか。

今ひとたびの修羅
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WOWOWドラマ『夢を与える』

小松奈菜という存在感。

綿矢りさ原作。
犬童一心監督。

それらを飛び越えて
小松奈菜という女優の存在感に圧倒される。

映画『乾き。』の女子高校生役で鮮烈デビュー。
第一印象はそんなに強くないが
物語が進むほどに妖艶さを恐ろしさを醸す。
そんな女優だ。

子役としてデビューした夕子が
思春期を迎え、悪夢のようなスキャンダルに放り込まれ
どうなっていくのかというドラマ。
ラストの小松奈菜が圧巻だ。
すべての共演者を喰って
ラストに観る者の心をさらっていく。
笑顔の悪女。
そんな印象。
女優は存在感。

WOWOW最近の中で一番の佳作。

夢を与える

花とアリス

若さとはときに美しく
もろくもはかない。


鈴木杏と蒼井優が主役の
岩井監督の女子高生ストーリー。

今、観返すとこのときしか定着できなかった
二人の女優の若さゆえのきらめきと輝きが見える。
そして、今の二人のありように思いを馳せると
はかなさも感じる。

青春とはいつも追憶の中にある。
そして、霧が晴れ、一瞬きらめき
また茫洋としていく。

鈴木杏演じる花が先輩に片思いをする。
先輩が頭を打ったそのときに
「私に告白をした」と嘘をつくところから
物語は動いていく。

この発想は不思議だ。
そして、そこから紡がれていく物語も
はかなくもおもしろく。

蒼井優が離れて暮らす父親と
一日過ごすシーンが心に残る。
蒼井優がラストにCMのオーディションで
バレエを踊るシーンが観る者を引きつける。

そして、落語をする鈴木杏に
一抹の悲しさを感じるのは
僕だけだろうか。

花とアリス

花とアリス

春を背負って

シンプルで心地良い
山の映像が主役の映画。


父親の遺志を継いで
為替ディーラーから
山小屋の主人になった男に松山ケンイチ。
山小屋で働く人々に
蒼井優と豊川悦治。

話はシンプルだ。
山小屋や山でいくつかの事件が起き
それを糧に松山ケンイチが成長していく。
蒼井優と豊川悦治はそれぞれに過去を抱えており
今、山にいる。
次第に近づいていく松山ケンイチと蒼井優。
トヨエツがいい味を出している。

しかし、観る前から感じていたけれど。
この映画は山の映像が主役だ。
都会で疲れた人々が山で生きる。
紋切型ではあるけれど
その定型を超える魅力が
山の映像にある。
役者がそこでイキイキと動き
ときおりこちらの感性を超える瞬間がある。

心が少しずつやわらかさを取り戻す映画だ。

春を背負って

春を背負って

LIFE!

シニカルな主人公。
世界の美しさ。奇妙な後味。
世界を見ているだろうか? 僕は


LIFEの廃刊号の表紙ネガを探して
写真家を追って
世界を巡るLIFEネガ管理部の主人公。

シニカルでカッコよくもなく
凡庸な主人公が
軽々と踏み出す世界への一歩。

世界を見よう!
世界はあまりにも広い。
インターネット時代の今だからこそ
その目で見ることの意味を
痛切に感じさせてくれる1本。

監督と主人公のベン・スティラーは
奇妙な才能だ。

少しビル・マーレイに通じる
味を感じる。

LIFE!

LIFE!

WOWOWドラマ『スケープゴート』

黒木瞳の力量を
まざまざと見せつけられた佳作。


大学教授の黒木瞳が
政治家となり
総理大臣をめざしていく物語。

4回シリーズだが
濃密で深いドラマが展開された。

黒木瞳の魅力が
存分に生かされている。

美しさはもちろんだが
強さ、したたかさ、品の良さ、やわらかさといった
表情を魅せる黒木は
ドラマを引っ張っていく。

総理から求められて
なった大臣から
さらに強引に立候補を求められ
続いては内閣官房長官の任へ。

状況が導いていくが
その裏には
社会での女性の現実がある。
それを十分に理解しながら
美しく、しかし、強く行動していく黒木の深み。

家族の問題も描かれ
それらがクライマックスで
ひとつの形へと結びついていく。
そのドラマは見事だし、感動する。

個人的には山口紗弥加の演技に惹かれた。
山口はバイプレーヤーとして
あちこちで光る演技をしている。
芯のあるチャーミングな姿に引き込まれた。

最後にタイトルの『スケープゴート』に
クライマックスでのどんでん返しの
真意が込められていた。

スケープゴート

ダイバージェント

神話のような
不思議な魅力に満ちた
未来の物語。


未来を描いたSFはさまざまにあるが
この映画は異色だ。

5つの属性に分けられた人々。
そこは未来的な映像というよりは
科学や技術を排した
古代のように見える。
その世界で自らに目覚め
ヒロインの女性が戦士へと成長していく過程は
まるで神話のようだ。

古ぼけた電車から
屋根に空いた穴へ飛び込む冒頭シーンから
その奇妙なバイオレンスとアクションに魅入られた。
続編に大いに期待したい。

ダイバージェント

ダイバージェント

文豪の食彩

食は人間の素の部分を表す。
文豪の人となりに近づく一冊。


コミックである。
文豪を題材にしたコミックはいろいろあるが
この本は新聞記者が
文豪が好きだった食を食べながら
文豪の人間性に迫るというスタイルだ。

食は人間の素の部分が出る。
あるいは隠している部分が出る。
それぞれの文豪の思いの一端に触れて
食べ歩きに誘われる一冊だ。

登場するのは
夏目漱石、正岡子規、樋口一葉、
永井荷風、芥川龍之介、太宰治。

永井荷風の老いながらも
若き日を思い出して
死の前日にも食べていた“カツ丼”に
心打たれた。

文豪の食彩

文豪の食彩
[ 2015/07/21 10:58 ] | TB(0) | CM(0)

アウトロー

トム・クルーズの新しいヒーロー像は
モヤモヤしたままだ。


邦題のアウトローも
アウトロー感のない
いつものカッコいいトム。

住所も住民票もない
(アウトローってことなんだろうが)
軍人上がりのトムが
無差別銃撃事件の被疑者に呼ばれ
事件の裏にある真相を解決。
ってアウトローがすることじゃない。

正体不明の新しいヒーロー像を
描きたかったんだろうけど
いつものかっこいいトムはいたけど
新たな魅力は感じなかった。
続編はないね。

ヒロインの弁護士と仲良くなる感じも
何かふわふわしているし
ラストの銃撃戦で
突然バディが出てくるのも???。
ストーリーにもうちょっと何かあったら良かった。

アウトロー

アウトロー

アデル、ブルーは熱い色

フランス映画らしい退屈さ。

フランス映画は突然サプライズが起きて
主人公が成功したり、助かったりしない。

そうした意味でフランス映画は
人生の退屈さを体現している。

この映画もそう。
ヒロインは学生時代に
女性が好きなことに気づく。
そして、アーティストである
憧れの女性と付き合い始める。
この女性の心の動きや日常を描き続けていく。
突拍子もないことは起きない。
二人はある出来事で別れるが
事件が起きて、よりを戻すこともない。

人生のハッピーを追いかけるというよりは
人生における意志を追いかける映画だ。

ヒロインはチャーミング。
憧れの女性は個性的。
髪の色はブルー。

タイトルの熱さは二人の恋の象徴か。
熱さはいつか冷めていく。
それが人生。

アデル、ブルーは熱い色

アデル、ブルーは熱い色

白ゆき姫殺人事件

ツイッターを取り込んだミステリー。
何だろう、この空虚さは。


表層の映画である。
流行もののツイッターをいち早く取り入れ
ネットで自分が作られていく恐ろしさを描いたのだろうが。

おもしろいのではある。
白ゆき石鹸を作る会社の
美人社員である菜々緒が
殺人事件に巻き込まれる。
容疑者としてマスコミに取り上げられるのが
同僚の地味な井上真央。

同社に勤める蓮佛美沙子に情報をもらい
取り上げるテレビ局の契約ディレクターが綾野剛。

ネット上で
井上真央が犯人として扱われていく。
はたして犯人なのか?

しかし、表層である。

その理由は
マスコミやネットによる
犯人捜しの怖さはわかるが
それとサスペンスとしての犯人探しの興奮が
祖語をきたす。

綾野剛のチャラさが
もうひとつ本質を突いてこない。

ラストはミステリーらしく
驚かせるが
しかし唐突である。

ツイッターという表層
ネットという表層
そうした流行ものへの
本質的な批判はここにはない。

それを使って、描いたものは
今という時代の表層である。
だから、上滑りするのは狙い通りか。

白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

乾き。

暴力とセックスを快感に変える装置。
それが映画だ。


そもそも映画は遠く離れた地の珍しいものを
その場で観たいという人類の欲望が生んだ装置だ。

ここでキーになるのは“珍しいもの”と“欲望”だ。
珍しいものは遠隔地にだけあるのではない。
もっとも珍しいものは人間そのものではないか。
もっとも強い欲望の対象も人間そのものではないか。

中島哲也監督は
この珍しいものと欲望を
エンターティメントに変える監督だ。

この映画はバイオレンスとエロスがふんだんに描かれている。
いや、むしろそれしか描かれていない。

ハードボイルドという仕立てと
優れた役者陣、なかでも小松菜奈という
この年齢でしか演じられない稀有な才能との
奇跡的な出会いを得て
さらにコミック的な演出でエンターテイメント色を強めて
見事にバイオレンスとエロスを描き切った。

親子の情、夫婦の情すらも
エロスに変えて。

聖職を生殖に擬して。

果てのないループの先に
行きつくものは
人間というどうしようもない
珍しいものなのだ。

この映画が嫌いだとしたら
人間の欲望が嫌いだ。

この映画に快感を覚えたとしたら
人間の欲望が疼いているからだ。

乾き。

乾き。

WOWOWドラマ『テミスの求刑』

仲里依紗主演の法廷ドラマ。
意外な犯人にドキドキした。


仲の父親は交番勤務の警察官。
ある日、交番で殺害された。

数年後。
その裁判を担当した検察官である岸谷五朗の元で
仲は書記官として働いている。

殺人事件が起こり
何と岸谷が容疑者となる。
逃走する岸谷。
この事件の陰に
仲の父親殺しが絡んでくる。
真相を突き止めようと動く仲。

そして、驚きの真相が隠されていた。

4回連続。
前半はややスピード感がなく
重いが、ラスト近くになって緊迫感が出てくる。
何より思いがけない犯人にビックリ。
これにはやられた。

さらにいろいろな思いが交錯した
真相が暴かれるが
やはり最大の見どころは驚きの犯人だ。

仲は書記官をがんばっている。
いつもの色っぽい仲を期待する向きには
少し残念。

テミスの求刑

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

高校生が主人公のロードムービー。
観終わった後にコツンと心に残る。


ロードムービーは好きだ。
芭蕉のころから。
いいや、さらに昔から
日本人にはさすらいのDNAが
受け継がれているのかもしれない。

もっと言えば、人類は地球をさすらってきた生き物なのだ。

そんな話はさておき。
高校生がついてしまった嘘から
東京から自分の自宅がある九州まで帰る物語。

ロードムービーと思わせない
さりげない始まり方がいい。
途中で出会う人々がいい。
杉田かおるとイッセー尾形の存在感が際立つ。

さりげなく、やさしく、厳しく。
大人へと進んでいく主人公が
次第にチャーミングに見えてくる物語だ。

おもうろて、やがて悲し。
それが人生。

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

ターミネーター4

色のない未来の物語。
僕は好きでなかった。


未来。
抵抗軍がスカイネットと戦っている。
そこにクローズアップしたターミネーター4。
僕は個人的に好きになれなかった。

戦いの世界がすべてすすけた色。
まるで軍事映画を観るような世界観。
出てくる男たちも軍人のよう。
そうなんだけど。
ターミネーターのエンターテイメントとしての魅力を
受け継いでいなかった気がする。

僕が個人的にターミネーターに感じている魅力は
一番はやっつけてもやっつけても立ち上がってくる
ターミネーターの怖さ。

あとは普通の現代世界にターミネーターが現れる恐怖。
つまりタイムスリップの魅力。

それがこの4は単なる戦闘映画だ。

しかも、映像がダークですすけていて
まったく魅力的でない。

冒頭が死刑シーンで始まるのも
引いてしまう。

つまりはこの監督の感覚と
僕は合わなかったということだろう。

ターミネーター4

ターミネーター4

トランセンデンス

何とも奇妙な後味の物語だ。
私がAIになる。
そして、世界と私はどうなるのか。


主人公はジョニー・デップ。
彼は優れたAI科学者だったが
狙撃されて危篤状態になる。
そして、彼の頭脳が研究していたAIに移植される。
世界のネットワークとつながった彼はまさに現代の神。
トランセンデンス、人間をAIが超越する物語だ。

その彼は世界の味方か、敵か。

しかし、サスペンスとスリラーの要素を盛り込みながら
映画は驚くほど静謐だ。静かだ。

彼を愛する妻が彼のために一大研究所を作る。
そこはすべて彼によって管理されている。
さらに言えば、ネットワークを通じて、世界も彼に管理されている。
このAIを破壊して、人類を守ろうとする一団がいる。
そして、クライマックス。

しかし、静かだ。

なぜだろう。

彼は自分がどうなるかを知っていたのではないか。
人類の行く末を見つめていたのではないだろうか。

優れた頭脳にだけ見える明日。
自らの理想と現実。
それをあらかじめ知っていたのではないか。

だからこそ、静謐な物語なのだ。

また、デップに思い入れしたいような。
彼が怖いような。
その気持ちの揺らぎがどちらにも肩入れできず
不安定なまま、観続けることになる。

そして。
ラストはやはり絶望でもなく、希望でもなく。

静かに物語は終わる。

トランセンデンス

トランセンデンス

2015年6月CXスペシャルドラマ『かもしれない女優たち』

バカリズム脚本。
人気女優たちの
パラレルワールドストーリー。
いい味出してる。


CXスペシャルドラマ。
真木よう子、水川あさみ、竹内結子の3人が実名で登場。
もし今のような売れっ子女優でなかったらという
シチュエーションで進んでいく
パラレルワールドを描いた奇妙なストーリー。

人気女優が、売れない女優を演じる姿になぜか惹かれる。
真木よう子がラーメン屋でバイトしている姿もいい。
水川あさみはコメディエンヌとしての才能を感じる。
竹内結子はさすがの存在感と笑顔。

同じような構造で3人の物語が繰り返されるので
終わりはどうなるかと思ったが、バカリズムやるね。
ハッピーで楽しませてもらえました。

題名とシチュエーションがキャッチ―でわかりやすい。
バカリズムは脚本家としてもイケますね。
かもしれない

イーグル・アイ

すべてを見られている恐怖。
行動を誘導される驚き。
主人公たちを見つめる
イーグル・アイとは何か。


テロリストと見られる男を海外で攻撃したアメリカ。
うって変わって、アメリカのごく普通の男が
突然携帯電話で誰かから指示される。
無視すると、自宅に大量の荷物が届き
FBIに拘束される。
そこから脱出を指示される男。
人間が、街中の機械が、信号が、交通機関が
あらゆるものが男を誘導する気味悪さ。
同じような誘導により、女の乗る車に乗り込む男。
二人は誰ともわからないものに威嚇され、誘導され
訳が分からない行動を続ける。
題名となったイーグル・アイとは
タカの目のこと。
誰かがはるか上空からあなたの動きを監視している恐怖。
そして、誘導される畏怖。
物語はどこへ向かうのか。
スピルバーグ制作総指揮のニュースタイルのサスペンスアクション。
引き込まれてラストまで観続けてしまった。
途中から主人公たちの人間性があふれ出して
普通のごく普通の男がヒーローになる設定に
共感できた。

どこで変化があったのか。
どう威嚇し、誘導されたのか。
疾走感の理由と面白さを
もう一度観返してみたい1本だ。

イーグル・アイ

イーグル・アイ
プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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