FC2ブログ

本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

ホーム > アーカイブ - 2017年02月

貨幣論

繰り返しの中で
貨幣は死を迎える。
それは資本主義の死。


貨幣論の本質は、
資本主義の危機は
恐慌ではなく、
ハイパーインフレーションだということだ。

マルクスの貨幣論に始まり、
貨幣について、論じられた本書は
膨大な繰り返しをあえて使う。
それは貨幣のあり方に似て。

貨幣を語ることは、
現在、唯一の体制である資本主義を語ることで
貨幣の危機は、資本主義の危機だ。

単一の価値となりつつある貨幣は
だからこそ、ハイパーインフレーションによって
その価値を失う、という危機をもつ。

貨幣は言語である、という指摘も印象的だった。
スポンサーサイト
[ 2017/02/28 03:51 ] | TB(0) | CM(0)

ライチ☆光クラブ(漫画)

恐ろしいほどに、快楽的な悪。

一人の人生を変えるほどの舞台があった。
それは古屋兎丸にとっての
東京グランギニョル『ライチ☆光クラブ』だった。
この残酷劇に魅せられた兎丸は
大学で演劇を始める。
紆余曲折の末、実は子どものころ
描いていた漫画にたどり着き、
かつて観た『ライチ☆光クラブ』を漫画にする。
それが本書である。

兎丸の人生を揺り動かした
壮絶な舞台が、ここに蘇る。

血と死、暴力のもつ暗い恐ろしい誘惑。

物語は秘密基地に集う学生たちによる
秘密結社の暴力と殺戮から始まる。

そして、フランケンシュタインを思わせる
ロボットと囚われの少女との恋が生まれ、
物語は破滅へと加速していく。

女性への暴力シーンに魅せられる
内なる悪を感じつつ。
背徳の欲望に身を焦がしつつ。
兎丸の描く物語は
熱狂の中で終焉を迎える。

圧倒的な猟奇性、圧倒的な情熱。
彼を突き動かした、黒い物語を観よ。

人生には、生きなかった裏がある。
[ 2017/02/28 03:48 ] | TB(0) | CM(0)

くちびるに歌を

新垣結衣を観るつもりが
思わぬ佳作に出合った。


長崎県五島列島が舞台の物語。
ヒロインの新垣結衣は
故郷へ臨時音楽教師として帰るピアニスト。
手に握られる携帯が新垣の謎を語る。
中学の合唱団の顧問となる新垣だが
ずっと不機嫌なまま。
しかし、自閉症の兄をもつ男子生徒や
両親と離れ、祖父母と暮らす
女子生徒との出会いの中で
新垣は変わろうとする。

隠れキリスタンが残る五島列島は
キリスト教文化が今に根付いている。
そうした島の姿や自然の風景がいい。
その景色の中でそれぞれに問題を抱えながらも
合唱を通じて、つながっていく姿に共感する。
少女や少年がいい。
不機嫌でありながら、ときおり微笑む新垣がいい。
ラスト。合唱コンクールの
ロビーでのエピソードは胸に来た。

新垣を観る映画のつもりが
少女と少年の一生懸命な姿に心が動かされた。
新垣の謎も心に迫った。

五島列島の美しい自然に
歌声は響く。

そして。
新垣演じるピアニストの明日に
幸多かれと祈る。

スター・ウォーズ/フォースの覚醒

既視感が凄い
新シリーズの始まり。


ディズニーがどうとか。
ルーカスの脚本が拒否されたとか。

スター・ウォーズファンで
新たな展開を羨望するなら期待外れ。

エピソード4との近似。
始まりは辺境の砂漠の星。
そこに暮らす主人公は
メカや部品、宇宙船の操縦に長けている。
女性というのが、これまでと違うところだけれど。
ジェンダー以外はあまりにも似た始まり。
パラレルワールドか!
突然飛来する戦闘宇宙船。
ドロイドに託す秘密。
いなくなるパイロット。
そして、少女は戦いに巻き込まれていく。
ファースト・オーダーという名の帝国軍。
デス・スターのようなスターキラー。
ダース・ベイダーのようなカイロ・レン。
スターキラーへ突っ込んでいく
レジスタンスの飛行船。


これは新作というより
リメイクだととらえた方がいい。
リブートか?
ディズニーがスター・ウォーズを
作り直し始めたのだと思う。

物語の内外で衝撃的な死が2つ。
これには驚きを禁じ得ない。

そして。
オールドファンが一番興奮したのが
ファルコン号の登場シーンだった。
ハン・ソロやレイア姫の活躍で
オールドファンを引きつけつつ
実はリメイク/リブートのスター・ウォーズ。
それなら、もっと新しい感性を。

驚きと新しい発見のない
スター・ウォーズ。
個人的にはイマイチだった。

イシューからはじめよ

何に答えを出す必要があるのか、
を問い続ける。


イシューとは
・2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
・根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

まずイシューを見つけることに注力せよ。
つまりはやらなくていいことは、
やらない決断をする。

何に答えを出す必要があるのか?
そのために、何を明らかにする必要があるのか?

それがすべてである。

犬の道を避け、やるべきことのみをやる。

イシューの言語化のポイント
・主語、動詞
・WHERE、WHAT、HOW
・比較表現

本質はこの辺か.

この後も技術論が続くが
トレーニングが必要な部分は
私のイシューではない。
[ 2017/02/10 16:14 ] | TB(0) | CM(0)

映画『屍者の帝国』

人は死ぬと21gを失う。
その21gを込めた
伊藤計劃のダイイングメッセージ。


伊藤計劃遺作のアニメムービー。

伊藤計劃は極限まで
浮ついた情緒や感情を捨て去る。
だからこそ、そこに描かれるものは
乾いた情感を漂わせる。

大作の原作を整理し
人物にフォーカスした本作は
かなり分かりやすくなっている。

そして、世界を巡り
各地で繰り広げられる戦闘シーンは
感情の吐露であることが
アニメ化で明らかになった。

ワトソンのフライデーへの思い。
ハダリーの感情への希求。
死へのはざまでテーマは突きつけられる。
生きるとは何か?
死とは何か?
思いとは何か?
死の刹那で人はどうなるのか?
死が人に何をもたらすのか?

屍者を生き返らせる技術という
ナイフを生に突きつけ、
生の意味を、思いの意味を問う。

このアニメのこぼれる謎は
人の生の過剰だ。

そして。
ワトソンのフライデーへの思いは
共同執筆者である
円城塔の
伊藤計劃への思いと重なって
胸が熱くなる。

浦沢直樹の漫勉「五十嵐大介」(NHK Eテレ)

美術系漫画家の圧倒的な自然風景。

自然の中に置かれた人間の姿が立ち上がってくる。
自然は心象風景でもある。

魚は海を取り込んで陸に上がってきた。
人間は自然を取り込んで進化してきた。
だから。
自然は内なる心象風景でもある。
そして。
人間を襲う圧倒的な脅威でもある。

「風景を描くために漫画を描いている。
それをアシスタントに渡すんだったら、
キャラクターを任せます」
その言葉に真意を感じる。

自分が感じた、
迫ってくる自然をどう伝えるか。
それがテーマだ。

圧倒的な風景の美しさ、凄さ。
そこに漂うミステリー感。
自然とは何か?
そこに生きる人間とは何か?
私とは何か?

しかし。
絵が上手いっていい。
絵が描けない私は
大いに嫉妬する。

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

平易な言葉で
経営学のフロンティアがわかる。


「経営学者はドラッカーを読まない」など
経営学についての三つの勘違いから入る。
居酒屋トークを検証するという導入から
組織の記憶力
両利きの経営
三つのソーシャル
日本人は集団主義か?
アントレプレナーシップの国際化について
リアルオプションについて
最後に経営学は本当に役に立つか?
などが、わかりやすい言葉で書かれている。

経営学は科学を志向するため
哲学は含まれない。
科学とはベースに統計的手法が存在する。
そこから逸脱しているように見える
個性的なトップ企業は分析しにくい。
その分析へ経営学の新たな努力は進んでいる。

こうしたラストあたりの私見が
経営学のこれからを
示唆しているように思えた。
[ 2017/02/04 18:26 ] | TB(0) | CM(0)

スクラップ・アンド・ビルド

誰のスクラップ・アンド・ビルドか?

介護が必要な祖父と、母と、
28歳無職青年が同居する。

青年は祖父の死にたいという思いを
成就させようと
できるだけ介助し、
体と思考をスポイルし
ソフトに死へ誘おうとする。
しかし、これは介護小説ではない。

その証左は
この小説が主人公である
青年のモノローグで進むことである。
このモノローグにより、
青年の内面が語られ続ける。
そして、その変化が綴られていく。

そこに介護や年金などの社会問題、
祖父殺しのサスペンスフルな展開、
彼女との関係など
豊富なエピソードを盛り込みながら
物語としての豊かさが紡がれる。

誰のスクラップ・アンド・ビルドか?
青年の真っ当な成長小説である。

ラスト。
電車内から見たセスナ機の姿に
万感の思いが込められている。
[ 2017/02/04 18:24 ] | TB(0) | CM(0)
プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

リンク/画像について

リンク/画像に問題がある場合は
トラバかコメントで書き込みください。
削除いたします。

月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム