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黙の部屋 本と映画とDVDはこれを見よ!

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黙の部屋

何とも不思議で魅力的なミステリーだ。
黙とは石田黙という実在の画家。
この画家に惚れ込んだ折原一が
この画家の絵画や実際の歩みなどを
盛り混ぜながら、
虚実入り乱れたミステリーに仕立てた。
ミステリーとしてのストーリーは
もちろん完璧にフィクションだが
その背後から、折原の石田黙の絵に対する
思いがリアルに立ち上がってきて
妙な実在感がある。
これがこの本をほかのどこにもない
唯一のミステリーにしている点だ。
本を開くと文庫にもかかわらず
巻頭にたくさんのカラーの絵画が
挿入されている。
実在の画家としての黙を知らない
読者は(私もそうだが)
ここでこの絵の妙なリアルさに
心動かされる。
トリック? 本物?
と心が乱れる。
主人公である美術雑誌編集長が
黙の絵に出合うシーンは幻想的で秀逸だ。
雨が降る銀座。
築地の露地に迷い込んだ水島純一郎は
骨董屋の店頭で黙の夜光時計に出合う。
ここから黙と水島のミステリーは始まる。
美術界の裏側もからみ
女性画家との出合いと恋愛。
そして、失踪。謎の展覧会。
中で興味深かったのは
オークションのシーンの緊張感だ。
折原一は、石田黙の
優れたコレクターとして
石田黙展も開催してしまったという。
この情熱が小説からも立ち昇る。
その情熱や黙の絵画への思いが
ミステリーをミステリー以上のものに
昇華している。
黙の部屋 (文春文庫)黙の部屋 (文春文庫)
(2008/07/10)
折原 一

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[ 2009/11/07 07:42 ] | TB(0) | CM(0)
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Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
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