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僕のなかの壊れていない部分

2月13日分。
直木賞を取って、最近注目の作家。
出版社に勤務する29歳の“僕”は
3人の女性と同時につきあいながら
その誰とも深く関わろうとしない。
自宅には鍵をかけず、若者2人を自由に出入りさせていた。
何だかフワフワした風俗を描いた小説かと思いきや
ところどころに生と死についての哲学が語られ
ラストでは、本質的な人間の生死感が圧倒的に語られていた。
3人とつきあうのが壊れているのではない。
僕のなかの壊れていない部分とは、
恋愛関係を、そして、そこから生まれる
生と死を注意深く避けようとしている
そのありようをいっているのだ。

本文から印象的な言葉を引く。

「若さには 老いに対する
 健康者には 病者に対する
 生きているものには 死者に対する
 無意識の優越感、傲慢の思いがある」

「僕は、誰に対しても
 不確実であさはかな感情を
 おしつけぬよう配慮してきたし、
 また、誰からもそういった錯覚と油断を誘う
 感情の押しつけを受けぬように注意してきた」

「いつの日には、必ずやどちらかが先に
 このボートから降りてしまうということを」

「子供を産むということが、その子を
 やがては死に至らしめる行為なのだと
 彼女たちは考えもしない」

「こうやって、とうとう自分は壊れていくのだ、と感じた。
 それでも枝里子が迎えに来てくれるのを、
 ただじっと待っているしかなかった」

僕のなかの壊れていない部分 (光文社文庫)僕のなかの壊れていない部分 (光文社文庫)
(2005/03/10)
白石 一文

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[ 2010/02/25 13:44 ] | TB(0) | CM(0)
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