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妊娠カレンダー 本と映画とDVDはこれを見よ!

ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

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妊娠カレンダー

4月13日分。
芥川賞受賞作。
表題作を含めて3作品が掲載されている。
『妊娠カレンダー』『ドミトリイ』
『夕暮れの給食室と雨のプール』
どれも時代から隔絶した場所が舞台となる。
時間が止まったような産婦人科医院。
古い学生寮。給食室。
そして、作者はそれぞれの場所で
ある種の事件に遭遇していく。
『妊娠カレンダー』は同居する姉の妊娠を
日記のようにつけていく妹の物語。
姉の夫と3人の同居。
姉は精神バランスをやや欠いている。
妊娠を通して、姉への愛憎が
うっすらと描かれている。
姉が通う産婦人科は
子どものころ
姉妹で裏庭に侵入した場所。
そのなかに入りたいと憧れていたのに
そこに姉が入っていく。
そのことへの嫉妬。
たんたんと描かれるなかで
妊娠という出来事がもたらす事件がおもしろい。
姉があらゆるにおいがダメになって
妹は庭に炊飯器や電磁調理器やコーヒーミルを持ち出し、
地面にござをひいて食べる。
映像が浮かぶ秀逸なシーンだ。
姉の妊娠という事件に影響されながら
生まれてくる命へのある種の驚愕が
そこには描かれている。
『ドミトリイ』は
主人公の主婦が
自分が学生時代に住んだ学生寮に
甥っ子を紹介するところから始まる。
旦那は海外赴任で一人暮らし。
主人公は次第に学生寮に通い詰めるようになる。
そして、サスペンスじみた展開を得て
物語は主人公の心に潜む
一瞬の狂気を暴いていく。
ドラマは心のなかにある。
『夕暮れの給食室と雨のプール』は
給食室への思いがテーマだ。
現代の近代的な工場のような給食室。
しかし、主人公が出会った男性は
以前大量の食糧を給食のおばさんが
作るシーンを見てしまい、
そのあまりの凄さに食べる気を失う。
ここにもかつてのドラマがある。
作者は心のなかに巣食う古い映像に潜む
心のトラウマを描き出す。
そこにはドラマは各自の心にあるという
真実が浮き彫りになってくる。
僕にも、あなたにも
心の中に潜むドラマとトラウマ。
それは映像に想起されてやってくる。

妊娠カレンダー (文春文庫)妊娠カレンダー (文春文庫)
(1994/02)
小川 洋子

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[ 2010/06/01 09:50 ] | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
できない日はごめんなさい。

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