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ジョーカーゲーム

4月15日分。
09年日本推理作家協会賞
09年吉川栄治文学新人賞
W受賞。
話題になった柳広司のミステリーである。
舞台は昭和12年。第二次世界大戦直前の日本。
軍国主義化し、海外侵略を進め
好景気を迎えている日本。
そこにD機関と呼ばれるスパイ機関が設立された。
率いるのは結城中佐。
新卒の学生たちを中心に集められた精鋭たちが
スパイとして世界を舞台に動きまわる。
そのエピソード短篇連作である。
何より舞台を日本のこの時期に置いたことで
リアリティをもって
日本のスパイを描くことができた。
この設定の妙。
作者の描くスパイは007と違い
人を殺したり、自殺したりするのを
スパイの失敗と見なす。
息をひそめて、場合によっては何十年
何代にもわたって情報を収集する
という諜報者の側面を描き出す。
必然的に描かれてくるのは
心理戦、騙し騙される駆け引きの妙。
その辺の案の練り方は秀逸。
丹念に仕込まれた伏線。
それが物語終盤で見事に答えとなる。
と思うと、またどんでん返し。
それがスパイの世界。
例えば、『幽霊』という作品では
英国総領事の家に
チェス相手として入り込んだ蒲生が主人公。
グラハム総領事にはスパイの疑いがかかっていた。
実際、グラハムの杖には情報が仕込まれていた。
しかし、その情報を仕込んだのは
グラハムではなかった。
誰が?
本当の謎がそこから始まる。
蒲生にヒントを与えたのは結城中佐。
誰が本当のスパイかは闇の中。
そして、蒲生はグラハムの女性関係の醜聞を知る。
グラハムは英国へ帰国することになる。
そのときに夫人に明かされたくない醜聞が
どう機能するのか?
裏には結城中佐?
といった具合に、後半の短篇では
結城中佐の深慮遠謀が多くなる。
そこが面白いのだが、
ちょっと細部に入り過ぎるきらいがある。
この物語が第二次世界大戦に突入したときに
どんな趣きを見せるか、
そこに人間ドラマへの期待がある。

ジョーカー・ゲームジョーカー・ゲーム
(2008/08/29)
柳 広司

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[ 2010/06/08 09:51 ] | TB(0) | CM(0)
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ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
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