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ほぼ1日1作品をめざしてレビュー!

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エミリー

8月12日分。
“嶽本野ばら”は好きな作家です。
作品に出てくるロリータファッションはチンプンカンプンだし
乙女心を持ってもいないとは思うのですが。
主人公たちのいさぎよさに惚れます。

『エミリー』はある種の教養小説だと思います。
『エミリー』には3本の作品が収められています。

『レディメイド』はタイトルからもわかるように
デュシャンなどのアートを題材としながらの恋愛物語が描かれます。
一番短いのですが、デュシャンが創り出す
コンセプチャル・アートのように難解です。
何度読んでもなぜこの恋愛に
『レディメイド』というタイトルがつけられたのか理解できません。
既製品の恋? 違いますよねえ。
なぜ? なぜ? と読者に考えさせる辺りにヒントがあるのでしょうか。

『コルセット』は、自殺をしようと考えた男性が
最後に通院する病院の受付嬢をデートに誘うところから始まる恋愛物語です。
衣装に関する展覧会に誘い、そこで展示されているのがコルセットです。
コルセットは既成観念の象徴として見られることができ、
そのコルセットを投げ捨てて、男性と女性は不倫に進むことになるのです。

表題となった『エミリー』は、
野ばらさんお得意のロリータ娘と
ホモセクシュアルの男の子の恋愛物語です。
二人がさまざまな経緯からラブホテルで一夜を過ごす下りは
SEXをできないだけに、もっともピュアな恋愛の姿だと感じました。
このお話が一番物語性も強く、そこにはいじめや少女期における性的虐待など
とても重い、現代が抱える問題を秘めています。
しかし、二人は
とてつもなく潔く、とてつもなく強く、とてつもなく美しい心で
生きていく、生きていかざるを得ないところに
胸が詰まるものを感じます。
私たちはそれぞれに複雑な事情に立ち向かっていかざるを得ません。
生きにくい時代に生きているのかもしれません。
そのとき、潔さだけが、生きる力をもたらしてくれる。
そこにしか救いはないのかもしれません。

そして、私は『レディメイド』の表題の意味を求めて
深い迷宮に入っていくのです。

エミリー (集英社文庫)エミリー (集英社文庫)
(2005/05/20)
嶽本 野ばら

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[ 2010/12/16 16:46 ] | TB(0) | CM(0)
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ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
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