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都の子

「安っぽい色の飴が好きだ。」
という一文から始まる
江國香織の初エッセイ。
フォトブックを開くような
視覚に訴える文章がきれい。


作者の感性がすみずみにまで行きわたる
やさしい美しい文章。
身近な飴の話から始まり
パレルモのアイスクリーム
チェニジアの砂漠の動物園と
海外を巡り
風の色に寄せて
幼いころの自分へと回帰していく。
一つひとつのエッセイに満ちる美意識が好きだ。

心に残ったいくつかの文章を。

(パレルモでカラフルなアイスクリームを食べて)
あのアイスクリームは忘れられない。
「よそ者を拒絶する町」パレルモの、なつかしく憂鬱な夕暮れの味だった。

意識するとすないとにかかわらず、放浪の血は、
まっとうな動物なら当然抱えこんでいる、
やっかいで幸福な衝動なのである。

(砂漠の動物園で動物たちを見て)
春になると、決まってあの砂漠を思いだす。
ものがなしくて仙人めいた、彼らの横顔と一緒に。

おりがみの色や模様は、雨の日に断然冴えざえしている。

(ダイビングをして)
陸に戻っても、頼りない子供でいたい、と思った。

階段に腰かけてゆっくり思いだしてみるに、
子供は孤独を、それはそれは愛しているのだ。

私は夏の緑をみると、「現実をうけいれよう」という気持ちになる。
「大丈夫大丈夫、外はこんなにきれいなのだから大丈夫」

たしか太宰の小説に、そういう描写があった。
夏の花の好きな人は夏に死ぬ、と。

佃煮の箱と割り箸のせいで、
運動会のお弁当はいつも木の匂いがした。

次に生れてくるときは、私はぜひ風になりたい。


都の子 (集英社文庫)都の子 (集英社文庫)
(1998/11/20)
江國 香織

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[ 2011/05/21 05:15 ] | TB(0) | CM(0)
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ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
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