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かたみ歌 本と映画とDVDはこれを見よ!

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かたみ歌

あの世とこの世は
思いでつながっている。
そこを行き交うことができる
アカシア商店街。
切ないのに、なぜか懐かしい連作集。


物語は私と比沙子が
その町に移り住むところから始まる。

紫陽花のころ。

古いアパートの二階に住むことになった二人。
荷物はほとんどない引越し。

お昼を買いに出た私は
『幸子書房』という小さな古本屋を見つける。
和菓子屋で干瓢巻きを買って帰ろうとすると道に迷う。
そこで見かけたのは電柱の陰から
「喜楽軒」というラーメン屋を覗く男だった。

実はそのラーメン屋のご主人は数週間前に
物取りに殺されていた。
そして、そのラーメン屋には
脳に障害がある子どもがいるという。
そう教えてくれたのは『幸子書房』の芥川似の主人だった。

私と比沙子が二人でそのラーメン屋の前を通ると
またその男がいた。
しかし、比沙子には見えない。
私はその男に話しかけた。
すると、その男は「俺が……守らないと」
といって、急に薄くなって夕陽の朱に溶け込んでいった。

男は子どもを守ろうとする主人の幽霊だったのか。

この事件をきっかけに
私と比沙子の関係も変わっていき
終りを告げることになる。
比沙子には、主人と子どもがいたのだ。
子どもの元へと返った比沙子。
ちゃぶ台には紫陽花が置かれていた。

せつなくも、不思議な、
そしてどこか懐かしい物語が紡がれていく。

舞台はアカシア商店街。
どの物語にも『幸子書房』の主人がからんでくる。

慎ましやかに、静かに暮らせたら
どんなにいいだろう。
しかし、人はどうしても
問題や悩みを抱えてしまう。
この世と来世を行き交う言葉や思いが
その問題や悩みを少しだけ
和らげてくれる。
だから、アカシア商店街は
奇妙で、どこか、ほっとする。

連作は次第に絡み合い
最後には大きな物語を紡ぎ出すことを
読む楽しみに伝えておきたい。


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(2008/01/29)
朱川 湊人

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[ 2011/07/08 12:17 ] | TB(0) | CM(0)
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Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
1日1レビューをめざします。
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