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忌館 ホラー作家の棲む家

嘘の配合比率が絶妙。

ホラー系の編集を生業とする主人公が住んだ館は
イギリスから移築された幽霊屋敷だった。

この小説は現実から
次第におかしな出来事が起こり
ホラーへと進んでいく。
その嘘の配合比率が絶妙だ。

そもそも、小説とは
リアルに嘘を混ぜたもの。

その配合比率で以下のように分類できる。

リアル>嘘
リアル=嘘
リアル<嘘

例えば。
ある解剖学書で
骸骨の上に蠅が止まっている
細密画があった。
その蠅はもちろん、フィクション。
嘘なのであるが、
このハエがいっそうのリアルさを生んでいる。
少しの嘘はリアルを高める。

さらに嘘の配合比率がリアルと同じくらいになると
読者は今がリアルか、嘘がリアルかわからなくなってくる。

さらに言えば
リアル<嘘
は嘘がリアルを追い越していく。
アンチリアルという新たな地平を拓くものといえる。
フィクションの世界こそが人生。
今いる人生はフィクション、仮想現実。
オタクの立ち位置はここだと思う。
そういった意味でオタクが
アイドルやSF、アニメに傾倒するのは
アンチリアルへの多いなる志向だと言える。

この嘘の配合比率の順番に
一番上がノンフィクションであり
二番目が一般の小説であり
三番目がホラーやSFという考え方もできる。


さて、この小説。
作者の三津田信三は
本物のミステリー系の編集者。
さらに作家が住んだ家の周辺も
実際に存在する。
作中に出てくる作家が応募した小説も
本当に応募されたものだという。

こうしたリアルを重ねて
いつしか登場人物である作家は
迷宮魔界へと足をそっと踏み入れる。

その足の踏み出し方が絶妙で
読み終えた後でも
この屋敷は本当にあるのではないか。
あってほしいと願う自分に気づく。

「にちゃり」という笑いの繰り返し。

イギリスの木の家、その中に置かれた家と瓜二つなドールハウス。

愛読者が次第に変質していく様。

この小説は多彩なホラーとサスペンスの要素をミックスして
読者を夜眠れなくさせてくれる。

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)
(2008/07/15)
三津田 信三

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[ 2011/10/13 09:31 ] | TB(0) | CM(0)
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