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IP/NN 阿部和重傑作集 本と映画とDVDはこれを見よ!

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IP/NN 阿部和重傑作集

「ぼく」という幻想。

この本は『インディヴィジュアル・ブロジェクション』と
『ニッポニアニッポン』という
阿部の代表作を1冊にまとめたものである。

感じたのは人称の問題だ。

それは「ぼく」という幻想のありかを
突き詰めていくことになる。

1作目のは主人公は自分をスパイだと思う映写技師だ。
「ぼく」という一人称で書かれることで、
本当にスパイなのか、
身の回りに危機が迫っているのかどうかが
曖昧なままで物語は進んでいく。

「ぼく」の実は平凡な日常が
Гスパイ行為」というフィルターを通すと、
非日常へ様変わりしていく。

本当の「ぼく」は何なのか?
存在自体が揺らいでいく。
これは今を生きる「ぼくたち」の
不在証明のようにも思えてくる。

もう1作は、トキを逃がそうとする「春生」の物語だ。
トキは学名ニッポニアニッポンであり、
まさに日本を解放するという比喩である。
その物語が3人称で書かれることで、
行動の滑稽さが立ち上がってくる。
これもまた「ぼくたち」のもうひとつの姿に思える。
日本の今という現実に閉じ込められて、
「ぼくたち」は歪んでいないだろうか?

「ぼく」という存在の
幻想を暴く1冊だ。


IP/NN 阿部和重傑作集 (講談社文庫)IP/NN 阿部和重傑作集 (講談社文庫)
(2011/07/15)
阿部 和重

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[ 2012/04/28 07:16 ] | TB(0) | CM(0)
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Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
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