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わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈1〉

引き込まれる16世紀のフィレンツェ。
ロレンツォ・デ・メディチに魅了される。


塩野七生ルネサンス文学の最高峰。
このあおり文句もスッと入ってくる読後感。

表題通り、マキアヴェッリが主役の物語だ。
マキアヴェッリと言えば、
『君主論』くらいしか思い浮かばない。
なぜマキアヴェッリを書いたのか。
どんな人物なのか、と思って読み始めると、
いきなり肩すかしされる。

導入で読書が進まなかったことを告白したい。
いきなり、フィレンツェの市街から
マキアヴェッリが『君主論』を書いた山荘のある村への
道の話から始まる。
しかも、地名を含めて詳細に書かれていく。
イタリアの土地勘もないし、
何でそんな道の話をするのか。
そんなまどろっころしさを感じながら読み進み、
たどり着いた序章のラストは感動的だ。
道の距離は、マキアヴェッリが公職を追放されて
花の都フィレンツェから、田舎に住まざるをえなかった
その心理的距離を表していた。
そして、マキアヴェッリの山荘の庭から
フィレンツェがかすかに見えた。
そのとき、塩野はいつかマキアヴェッリを書こうと思った、
そうしたためる。その一文から物語は始まっていく。

一巻はマキアヴェッリがほとんど登場しない。
当時のフィレンツェを理解するために
メディチ家について書いていく。
中でも、ロレンツォの活躍は
それだけで一篇の映画になりそうだ。
このエピソードに心躍った。
そして、メディチ家の没落、再興。
そこにマキアヴェッリの運命がからんでいく。

塩野は豊富な知識を自らの中で血肉化して
見てきたように、往時の物語を紡いでいく。
語り口はゆったりと、しかし、豊かだ。
そして、塩野が提示する知識や知恵をかみしめながら
読者は次第にフィレンツェの只中にたたずんでいる気分になる。
そうなったら、もうこの世界から出ることはできない。
そんな魔力に満ちた塩野文学だ。
一巻を読み終えて、改めて目次を見ると
その構成の確かさと無駄のなさに気づかされる。

イタリアに住み、イタリアの歴史を愛し
イタリアという国のあり方が
自らの生き様にさえ重なる塩野が紡ぐ物語は
感情を交えない語り口でありながら
あふれんばかりの情熱を感じてしまう。


わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈1〉 (新潮文庫)わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈1〉 (新潮文庫)
(2010/04/24)
塩野 七生

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[ 2014/10/20 10:54 ] | TB(0) | CM(0)
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