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天地明察(上)(下) 本と映画とDVDはこれを見よ!

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天地明察(上)(下)

しなやかさは力。


江戸時代、当時使われていた宣明暦は正確さを失い、ずれ始めていた。
そこで日本初めての暦の創造の命を受けたのが
城内碁打ちでありながら、数学に生きがいを見出していた渋川春海だった。

この春海のキャラクターがいい。
二刀を拝領しているが、武士ではなく
気弱で優しい、やわらかい。
碁打ちに本領を見いだせず、数学の問題と出合うと
地べたに座り込み、解き始める。
こんな柔和な人物がさまざまな出来事を通して
遂には日本独自の暦を生み出し、亡くなるまでを描いている。

全国を先輩2人と回り
北極出地という星の測量を行うのが
上巻のトピックスである。
そこで出会った先輩のうち一人は
役目の途中で体調を壊し帰宅し
戻らぬ人となる。
その辺りの情感は胸に迫る。
もう一人の先輩も春海もやさしい。
そのやさしさが痛い。

碁打ちとしての周囲との話題も興味深い。
特に才能あふれる後輩から執拗に勝負碁を迫られるのはおもしろい。

下巻になると俄然改暦へと話は進む。
そして、紆余曲折ありながら
遂には和暦を生み出すのである。

サブストーリーである
えんという女性との恋物語にもときめく。
ともに別の伴侶を得るが
ともに死別し、再び出会い
遂には引っ込み思案の春海も結婚を申し出る。

なぜに気弱で豪胆でもない春海が
改暦という途方もない事業を達成できたのか。
ふと思い当たった。
気弱だから、優しいからこそだと。

しなやかさは力。
改暦には数学的能力だけでなく
政治的な手腕も必要になる。
幕府、皇族、宗教勢力などのパワーバランスを知り
徹底した対策が必要になる。
そうしたすべてをやわらかに受け止め
柔軟に、しかし徹底して行うには
春海のしなやかな人となりが不可欠だったのではないか。
読了して、本を閉じたとき
心の中に春海のそんな姿が浮かんできた。

天地明察上

天地明察 上<天地明察> (角川文庫)

天地明察下

天地明察 下<天地明察> (角川文庫)

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[ 2016/02/05 10:31 ] | TB(0) | CM(0)
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ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
フリーランスコピーライター。
本と映画を中心に
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