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ゼロからトースターを作ってみた結果

ゼロからがキーワード。
トースターを作ることは
現代では冒険なのだ。


インディー・ジョーンズ張りの冒険が始まる。
ゼロからトースターを作るという冒険が。

軽口の文体と
ゼロから一人でトースターを作るという
プロジェクト?に引き込まれた。

個人的な興味かもしれないが、
シンプルで荒唐無稽でプロジェクト?や
冒険に心動かされる。
小学生のとき、
家の近くを流れる川の源流を見つけようと思い立った。
だって、簡単でしょう。
その川を上流に向かって歩いていけばいいのだから。
この小冒険に僕は湧き立った。
ある晴れた日の午後、僕は決意して旅立った。
電車で2駅ほど歩いたとき、
日は傾いて、あたりが夕焼けになる頃、
この冒険が無謀なことに気づいた。
まだ川幅は広く源流にはほど遠いことを知ったからだ。
この小冒険の成果は
おたまじゃくしがたくさん泳ぐ田んぼを発見したことだ。

あるいは大学時代、いつもは車で向かうバイト先に
自転車で向かおうと思い立ち、
自転車を途中で乗り捨てたこともあった。

このゼロからトースター冒険もそんな僕の心をとらえた。

著者で冒険の主はトーマス・トウェイツ。
親しみをこめて、トーマスと呼ぼう。
トーマスはアートスクールの学生。
彼は卒論のテーマにトースターをゼロから作ることを選んだ。
まずは市販の安いトースターを解体することから始めた。
リバースエンジニアリングというやつだ。
まあ、物を分解することは
子どものころにやったね。

分解して、素材を分類する。
これが難しい。
磁気を帯びているものとそうでないもの、
電子回路もわからない。
で、何とか分けて、
鉄・マイカ(断熱材)・プラスチック・銅・ニッケルだ。

助言を求めて、訪ねたシリアーズ教授とのやりとりがおもしろい。
トーマスがすごく本音で話し、
教授が難しさを説く。
その噛み合わない感じ。

なぜトースターなのか。
トースターは消費文化の象徴だと思え、
さらに『銀河ヒッチハイク・ガイド』の一節も紹介している。
「自分の力でトースターを作ることはできなかった。
せいぜいサンドイッチぐらいしか彼には作ることができなかったのだ」

さあ、トースターを素材から作る冒険の始まりだ。
こんな言葉もいいぞ。

「一からアップルパイを作ろうとしたら、
まずは宇宙を創造しなくてはならない」(カール・セーガン博士)

そして、それぞれの素材を
原料から求める冒険が始まる。
鉱山へ、採掘場へ。
ときには入手できないものは
コインを溶かしてという荒業も(笑)
そして、できたトースターは
およそトースターと思えない出来栄え。
ラストに観衆の前で
このトースターに通電するというクライマックス。
たかがトースター。
しかし、されどトースター。
現代社会に生きる僕たちは
トースターひとつうまく作れない。
そのことに愕然とする。
しかし、1日バイトすれば
トースターは確実に買える。
これはどういうことだろう。
覆われているものを拭い去れば
僕たちの社会はこうしたことだ。

ゼロからトースターを作ってみた結果
ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)
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ミツ

Author:ミツ
神奈川県在住の
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本と映画を中心に
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