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ベイビーステップ(1~47巻)/勝木光✓

非日常の力。


ベイビーステップが終わった。
唐突とも感じられるATP250大会本選開始直後の終了。
優等生のエーちゃんがノートを片手に
試合中もメモを取りまくり
トレーニングをしまくり
3年でプロになった。
さあ、これからと期待する読者も多かっただろうに
唐突の終了。
終了理由は不明だが
個人的に感じたのは
「非日常の力」を描き続ける難しさだ。

漫画でスポーツを描くとき、
物語が進めば進むほど、
実際にはありえない魔球や新技が繰り出されてくる。
これは漫画という非日常と
スポーツという非日常が組み合わさって
その先にめざすものが、
新たな非日常であることを希求されるからだろう。

かつての『巨人の星』も
最後には大リーグボールという魔球に手を出した。
そうでもしなければ、
加熱する読者の要求に応えられなかったのだろう。

戻って、ベイビーステップだ。
この漫画には魔球や秘技や殺技など出てこない。
スポーツは非日常だが、
そこに実際のテニスの試合で使われる
戦略や戦術を駆使することで
主人公のエーちゃんは強くなり、
高校からテニスを始めて3年でプロになるという快挙が生まれた。
ただし、よく考えれば、このことは非日常だ。
鍛え上げられた強靭な肉体があるわけでもないのに、
あれよあれよとトップへ駆けあがっていくことは、
実際にはまず起こりえない。
起こりえないからこそ、読者は興奮した。
ひたすらノートを取り、分析し、答えを導き出す
独特のスタイルは、日本的であるし
努力すれば成功するという図式は
心に響いた。

しかし、である。
ATP250というプロの世界に足を踏み入れたとき、
このノートだけでどうにかなっていくのだろうか?
極端な神秘主義
肉体改造
あるいは禁断の必殺技に
エーちゃんが手を出さないとも限らない。
少なくとも、これまでの必死な取り組みと
戦略で勝ち進むという
図式ではプロの世界は難しいのではないか。
言ってみれば、努力だけでは勝てない世界に
足を踏み入れたのである。


そして、ここに至って
さらなる漫画的な非日常への跳躍を拒否して
ベイビーステップは終焉を迎えたのではないだろうか。

しかし、我々には47巻がある。
1巻を開けば、再び、あの無垢なエーちゃんに
会うことができるのである。


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[ 2018/02/10 07:47 ] | TB(0) | CM(0)
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Author:ミツ
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